「尿漏れしてない?」「席どうぞ」 本当は敬老なんてされたくない…60代70代がモヤった“年寄り扱い”の瞬間
免許、シニア料金…制度が突きつける「あなたは高齢者」
もう一つ目立ったのが、免許更新やシニア料金など、年齢によって線を引かれる場面だ。
「免許の更新で高齢者講習を受けなければならないこと」(滋賀県・73歳・男性)
「免許更新の高齢者講習がそもそも腹が立つ」(愛知県・73歳・男性)
道路交通法上、運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が70歳以上の人は、更新時に高齢者講習を受ける必要がある。安全のための制度とはいえ、それまで普通のドライバーだった人にとっては、「高齢者」という札を突然ぶら下げられたように感じるのかもしれない。
割引だって複雑だ。
「レストランの会計で、シニア割になっていた」(北海道・65歳・男性)
「食べ放題の焼き肉店で精算の際、70歳以上の料金を申告したら、証明書の提示も求められず普通に精算してくれた。安くなるのはいいけれど、自分では年より若く見えるつもりでいたので、ショックだった」(奈良県・70歳・男性)
「映画館でシルバー割を使ったが、受付で証明を求められなかった。見るからに高齢者だと思われたに違いない」(東京都・73歳・女性)
証明書を出せと言われれば面倒だが、何も聞かれなければ「見ればわかるのか」と傷つく。店員さん泣かせではあるが、この“確認されなかったショック”は複数の回答に登場した。
「おばあちゃん」と呼ぶのは誰?
そして破壊力抜群なのが、知らない人から突然「おばあちゃん」「おじいちゃん」と呼ばれるケース。
「私はまだおばさんと思っているのに、前を通る小学生たちにおばあさんと言われた」(京都府・75歳・女性)
「バス停で後ろの人から『おばあちゃん』と声をかけられた。振り向くと相手も杖をついた立派なおばあちゃん。他人に声をかけるときは『奥さん』とか『あの、ちょっと』とか言ってほしかった」(東京都・76歳・女性)
子供から言われるのとはまた違い、自分と同年代に見える相手からの「おばあちゃん」には、いっそう納得がいかなかったようだ。
さらに70歳女性は洋服店で「店頭でババくさい衣類を店員に勧められた。不愉快」(大阪府・70歳・女性)。78歳女性も、ボトムスを探していたところ若い店員から「ウエスト総ゴム、通院用の膝までファスナー」のコーナーへ案内されたという(神奈川県・78歳・女性)。
またカラオケの場面でも……。
「演歌や80年代の曲が好きだと勝手に思われ、曲をかけられた。今の曲しかテンションが上がりません。洋楽派でもあります」(大阪府・61歳・女性)
敬老の日を前に、周囲は「いたわらなくては」と思いがちだ。しかし今回の回答で見えてきたのは、「年寄り扱いされたくない」というより、年齢だけで「できない」「弱い」「こういうものが好きなはず」と決めつけられたくないという思いだ。
一方、「年寄りだから気にしない」(栃木県・71歳・男性)、「今の年齢を楽しんでいる」(神奈川県・78歳・女性)という達観派も少なくない。
とはいえ、目の前の人が「年寄りですが、それが何か」と達観しているのか、まだ「年寄り」という呼び名を受け入れられないのかは、周囲からは判別できない。
敬老の日に「まだまだお若いですね」と言うのも、「年齢の割には」という意味に聞こえる恐れがある。結局のところ、敬うべきなのは年齢ではなく、その人自身なのかもしれない。
※全国の60~79歳の男女300人を対象にアンケート調査。件数は自由回答を編集部で分類・集計した。





