優等生ほど“夏休みの宿題をAIにやらせる”理由を現役教師が告白…生徒の親が「AIで片づけてしまいなさい」と言うケースも

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学校の課題では受験に対応できない

 いわゆる私立の“超”進学校などは生徒の自主性に任せて、課題がないことも多い。しかし、進学実績を気にする公立高校ほど課題があったり、教師によってはとんでもない量を出したりすることがある。成績の良い生徒からすれば、課題のレベルが低いと、やっている時間が無駄に感じられるというが、提出しなければ内申書に影響するため、代行サービスに依頼するという流れだ。

 なお、筆跡でバレるのではないかと思いきや、代行サービスでは本人が書いたように真似ることもできるというから脱帽である。現在のように生成AIを使う場合は、文章を出力し、本人が手書きすればバレにくい。最近はパソコンで作成した原稿でも受け付ける学校もあるというから、生成した原稿を手直しして提出すれば、あっという間の課題は終了である。

 そもそも夏休みの課題は学校によって異なっており、教師の裁量によって決められていることも多い。前出の教師A氏は、宿題の在り方について頭を抱えている。

「AIが普及していなかった時代から、夏休みのドリルを放棄してやらない生徒も多いですし、明らかに答えを丸写しして提出する生徒は常にいます。だから、課題が形骸化していた部分はあると思うのです。

 しかし、AIを使えば1日で処理できるとなると、もはやどんな課題を出せばいいのかわからない。いっそのこと、課題を出すのをやめてしまってもいいのではないかと感じることもあります」

AIを活用した課題を模索すべきか

 教師A氏が指摘するように、少なくとも、生徒にノルマを課すだけの課題が形骸化しているのは間違いない。AIの有無にかかわらず、時代に合わせた形に変えていく必要はありそうだ。ちなみに、実際に課題をなくした学校もあるようだし、ドリルではなく、総合学習や職業体験の時間などを重視する学校も出てきているという。

 AIを全否定するのではなく、むしろ課題に活用することを検討する段階にきているのではないかと説くのは、スタディサプリの日本史講師であり、教育に関する数々の著作がある伊藤賀一氏である。賀一氏は、「AIにいくつかテーマを出してもらい、そこから取捨選択したうえで行う総合学習などの課題であれば、意味があるのではないか」と話す。

「現時点では、社会科の講師としては、AIは間違いが多いので全然使えないというイメージです。AIの間違いをチェックする仕事が来るくらいですからね。しかしながら、AIは日進月歩で進化しているので、勢いを止めることはできないでしょう。今だとぎこちない文章でも、この先は人間が書いたように、巧妙に偽装できるようになるでしょうね。

 したがって、もはや抗っても仕方ないわけで、波に乗るしかない。教員側も、AIを使われても大丈夫な課題を出すようにしないといけないと思います。僕だったら、堂々と“AIを使いなさい”という課題を出す。自分でAIの活用方法を考え、具体的に活用した例を提示する。単語や数式を覚えているだけではできませんから、大人でも難しいと思いますよ。

 課題そのものをAIに考えてもらい、そこから選び取る場合でも、完成した提出物のクオリティはその人がどれだけ知識を蓄積しているかで左右されます。AIはどんなに進化しても、あくまでも人間のサポートでしかない。AIの時代だからこそ、知識をインプットして引き出せるようにしておくことは大事なので、今まで通りの勉強がますます重要だと思います」

 課題のあり方については模索が続いているが、子供たちは日常的にAIを使い出している。AIを使わない人の方が少数派になってしまう時代が、もうすぐやってくることになりそうだ。しかし、あくまでもAIは道具に過ぎない。どう使いこなすかどうかによって、子供たちの未来が大きく変わることは間違いないだろう。

ライター・山内貴範

デイリー新潮編集部

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