「お金の話があるからね…」“中道分裂”の背景に「公明新聞」という二党合流を阻んだ “聖域”
華々しい結党の記憶も新しいままに、わずか半年余りで中道改革連合は「分裂」という結末を迎えることになった。その背景の一つとして指摘されるのが、やはり“金の問題”だ。逼迫する党財政の状況に限らず、機関紙『公明新聞』や、創価学会の聖地である信濃町の不動産の扱いなどをめぐっても、公明党と立憲民主党は相容れない運命にあったようだ。(小川寛大/宗教専門誌「宗教問題」編集長)
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「お金の話があるからね……」
今年の衆議院議員選挙が終わった直後、2月下旬のことだった。筆者はその選挙で大敗した中道改革連合のある関係者に会って、こんな話を投げかけた。
「立憲民主党と公明党の支持基盤を足し算すれば自民党を圧倒できるはずという、当初の“皮算用”については理解できなくもない。しかし、その目論見は失敗した。こうなったからには中道改革連合という枠組みは早期のうちに解消して、立憲や公明に復党するなり、また新しい党の立ち上げを模索するなりしたほうが、有権者にとってもわかりやすく、すっきりするのではないか」
しかし、その関係者は苦虫をかみつぶしたような顔をして、こう答えた。
「すぐ、そんな大きい決断をするのは難しいと思う。少なくとも4月までは動けないだろう。第一、お金の話があるからね……」
なぜ、4月なのか。
中道改革連合は2月の衆院選に総計236人の候補者を立てたものの、49人の当選者しか出せず、すなわち187人もの候補が落選する大敗を喫した。しかし、それでも49人の議員を擁する、衆院での野党第一党ではあった。この49人という議員数や、衆院選での得票実績などを元に、中道改革連合に今年支払われる政党交付金は、23億3881万円となった。
ただし、政党交付金とは一括でもらえるお金ではなく、4月、7月、10月、12月と、年4回に分けて支給される。すなわち前出の関係者は、「少なくとも4月分の交付金をもらう前に、中道の解消はありえない」と言ったわけなのである。
実際に衆院選の直後から、中道執行部などの関係者らは、「落選者の活動支援などもあって、非常に党財政が逼迫している」といった旨のことを、あちこちで言うようになる。5月からは、政党としては異例のクラウドファンディングを実施し、1億1000万円以上集めていた。
合流後の『公明新聞』の扱い
衆院選敗北のショックを引きずるなか、立憲・公明の組織風土の差も、なかなか埋められなかったようだ。ついに9月9日、党の分裂が正式決定したというのは、周知のとおりである。
しかしここに、“金の問題”という見方を補助線として引いてみると、興味深い光景が見えてくる。
中道改革連合の小川淳也代表は、9月9日に党分裂を決めた後の記者会見で、2月の選挙戦にて、党として約20億円の支払い債務を抱えたという趣旨の発言をしている。これでは政党交付金が全額入っても、通常の党活動に回せる余地はほぼない。1億円のクラウドファンディングなど、まさに焼け石に水だろう。
また旧立憲は、企業・団体献金の禁止を掲げ、政治資金パーティーについても厳しい規制を主張してきた党だ。いきなり「政治資金パーティーで稼ぐ」という方向への転換も難しいだろう。中道改革連合の資金難の状況は、実際かなり深刻だったのではないか。
さらに、公明党が抱える機関紙や資産の扱いも、今回の「分裂」を読み解く上で重要な要素になると思われる。
公明党には、『公明新聞』という党機関紙がある。これは日刊紙であり、今の日本でこうした日刊の党機関紙を発行している政党は、共産党(『しんぶん赤旗』)以外に存在しない。つまり党機関紙と言っても、相当なスタッフを抱えている部署ということになる。これは一部で報道されているし、また筆者も各種の取材のなかで聞いたことだが、仮に公明党に残る参議院議員、地方議員を中道に完全合流させたら、この公明新聞をどうやって抱えていくのかという懸念が、一部中道関係者の間にはあったとされる。
〈創価学会本部がある“聖地”・信濃町の不動産をめぐる議論など、新潮QUEで詳述している〉


