「役職定年で年収700万円が490万円、定年後の再雇用でさらに4割減の294万円に」…54歳社員が絶句【老後の生活設計をFPが助言】
【FPの助言2】知っておくべき「高年齢雇用継続給付」と、退職金で一括返済の危険性
再雇用後に収入が急減した際、心強い味方となってくれる公的なセーフティネットが存在する。それが雇用保険から支給される「高年齢雇用継続給付」だ。これは、60歳以降も同じ会社などで働き、賃金が60歳到達時点の75パーセント未満に下がった場合に支給されるものだ。雇用保険の被保険者期間が5年以上ある会社員であれば、低下率に応じて再雇用後の賃金の最大10%相当(上限額あり)が賃金に上乗せされる。給付は原則として、60歳になった月から65歳になる月まで受けられる。
「この給付率はかつて最大15%でしたが、2025年4月1日以降に60歳を迎える人について、給付率が最大15%から最大10%に引き下げられました。給付率は縮小傾向にあるものの、フリーランスや個人事業主にはない、会社員ならではの恩恵です。手続きは原則として会社が行うため、定年が近づいたら担当部署に確認し、給付込みでの手取りを試算しておきましょう」
会社員にとってもう一つの大きな資産が退職金だ。これを「ローンの繰り上げ返済にあてる」か「投資にまわす」か迷う人は多い。
「住宅ローンを退職金で一括返済して身軽になりたい、全額を投資にまわして少しでも増やしたい……、いろいろな思いがあるかと思います。気持ちはわかりますが、退職金のすべてを返済や投資にまわすのはおすすめできません。古くなった住宅の修繕や自身の入院など、今後もさまざまな出費が待ち受けています。稼ぐ力が落ち、ローンを借りにくい老後においては、預貯金などですぐに引き出せる形で資金をある程度確保しておくほうが安心です。少なくとも生活費1年分は手元にしっかり残しつつ、それ以外で新NISAなどを手堅く運用する、一部を繰り上げ返済するなど、バランスよく配分することが大切です」
また、役職定年と定年退職後の減収を乗り切るための最大の鍵は、支出のコントロールだけでなく「働き方のシフト」にあると上原さんは強調する。
「老後も現役時代と同じようにバリバリ稼がなければと気負う必要はありません。たとえ夫の月収が十数万円だったとしても、妻もパートに出て月に数万~十数万円を得られれば、世帯収入の落ち込みを補い、生活費をカバーしやすくなります。65歳以降は公的年金も含めた世帯収入と支出をあらためて試算する必要があります」
50代のうちから家計の全体像を見通し、準備を整えておけば、給与明細の数字に怯えることなくセカンドライフを迎えることができるはずだ。
※プライバシー保護のため、記事で紹介する事例は、具体的な状況の一部を変更しています。
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