「多少、人間性に不安があっても…」プロ野球で不祥事続発 スカウトが語るドラフト候補の“素行調査”の現実

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ケースバイケース

 アマチュア時代は不祥事を起こすように見えなかった選手がいる一方で、素行に不安があると見られていても、プロ入り後に模範的な選手となる例もあるという。一般企業でも採用は難しいと言われるが、プロ野球界でも事情は同様と言えそうだ。

 もう一つ気になるのが、選手の起こした不祥事が、その後のスカウティングや選手獲得にどの程度影響してくるかという点である。

 プロ側から見れば、不祥事を起こした選手の出身チームからは指名しづらい。逆にアマチュア側から見れば、「選手を預けたのにプロでしっかり育成しなかった」という理由で、指導者や選手がその球団からの指名を拒否する。そういった噂もあるが、実際のところはどうなのだろうか。

「こればかりはケースバイケースとしか言えませんね。ただ、不祥事を起こした選手がいるチームだから指名をやめようということは、まずないと思います。逆に、選手が何か問題を起こしたからといって、球団のせいにするアマチュアの指導者もそうはいないのではないでしょうか。球団からすれば良い選手を獲りたいですし、アマチュアチームとしてもプロに選手を送り出せば名誉なことになります。だから、お互いの立場で不祥事が起こらないように選手を教育していくしかないのかなと思います」(前出のスカウト)

 実際、NPBでも選手教育の取り組みは行われている。毎年実施されている新人選手研修会では、今年も「薬物乱用防止」「暴力団の実態と手口」「SNSの使用モラルと危険性」「オンラインカジノ」「有害行為」などが講義のテーマとなった。

対策の積み重ねが重要

 羽月の事件を受けて、NPBの榊原定征コミッショナーは2月、薬物使用について、これまでガイドブックの配布や新人選手研修会、キャンプでの講習などを行ってきたと説明。そのうえで、12球団と連携して再発防止に努める方針を示している。それでも、選手一人ひとりの行動を球団やNPBが24時間管理することは不可能だ。

 今回はプロ野球選手の不祥事について取り上げたが、アマチュア野球の現場を見ても、指導者の不適切な指導が後を絶たないのも事実だ。現役選手に限らず、引退後の元プロ野球選手が事件を起こす例もある。

 もちろん、不祥事を起こした本人が責任を負うのは大前提である。ただ、問題が起きるたびに所属球団や出身チームだけの責任として片づけても、再発防止にはつながらない。選手自身がプロとして背負う責任を自覚すると同時に、プロとアマの双方がそれぞれの立場でできる対策を積み重ねていく。残念な事件を少しでも減らすには、野球界全体でそうした意識を共有していくことが必要ではないだろうか。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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