「秋葉原」「池袋」に続く新たな“オタクの街”とは…スクランブル交差点に「涼宮ハルヒ」、レコードショップで声優の握手会が開かれる時代が訪れるとは
20年前の2006年、美少女ゲーム「To Heart2」の柚原このみ役などで知られる声優・落合祐里香(現:友利花/長谷優里奈)氏主催の「1000円オフ会」が行われ、ファンである筆者はこれに参加した。会費はたった1000円という驚きの安さにもかかわらず、参加者は落合氏の手料理を味わうことができたうえ、サインまでもらえるという夢のようなひと時であった。
ネット上では半ば伝説となっているこのオフ会だが、当初、落合氏は渋谷での開催を予定していた。ところが、直前に、ある参加予定者が「渋谷といえばヤングの街」「私を含むアキバ系のオタクの方々には、渋谷の領域に踏み入る事は不可能だと思います」と言ったことで会場が変更された経緯があった。
前述の参加予定者の言葉を借りると、2000年代の渋谷はヤング(若者)もしくはリア充の街であり、対する秋葉原はオタクの街と、明確に分かれていたのだと思われる。
そんな渋谷がいま、じわじわとオタク成分の強い街に変貌しているというのだ。オタクから“その領域に踏み入る事は不可能”とまで言われていた渋谷に、いったい何が起こっているのだろうか。【取材・文=山内貴範】
【写真】パルコはキャラクターグッズ売り場だらけ、さらに街には「アニメイト」、「まんだらけ」、「らしんばん」まで出店…かつての「おしゃれな若者の街」が「オタクの街」へと変貌していた
渋谷に漫画やアニメを扱う店が進出
映画やドラマにもなった『電車男』で紹介されたように、2000年代のオタク文化の中心地といえば秋葉原であった。もちろん、今なお秋葉原にはアニメショップやマニアックな商品を扱う店は多い。しかし、インバウンドが増え、コンカフェ嬢の客引きも目立つなど、20年前とは街の様子も大きく変わった。
秋葉原に続いてオタク文化が盛り上がりを見せた街は、アニメショップ「アニメイト」が本店を置く池袋である。「サンシャイン60」西側の通りはアニメショップが軒を連ねることから「乙女ロード」と呼ばれ、BLなどを好む女性オタクの聖地として有名になった。最近ではコスプレのイベントも多数開催され、池袋は地域を挙げてオタク文化を盛り上げている。
そして、近年、オタクの街としてじわじわと注目されつつあるのが渋谷だ。渋谷には2000年代の時点で既に「アニメイト」や「まんだらけ」があったものの、あくまでもオタクはアウェーな存在という感じだった。ところが、今は違う。漫画、アニメ、ゲームを扱うショップが続々オープンし、賑わいをみせているのだ。
駅前でライトノベルのイベント
渋谷駅前、スクランブル交差点に面した「SHIBUYA TSUTAYA」では、漫画、アニメ関連のイベントや展示会が頻繁に開催されている。筆者が驚いたのは昨年開催された「ライトノベル展2025」で、壁面にはイラストレーターのいとうのいぢ氏が描いた「涼宮ハルヒの憂鬱」のイラストが堂々と掲示されていたのである。
2000年代のオタク文化を象徴する存在である「ハルヒ」。当時、秋葉原の歩行者天国では、作中に登場する高校のセーラー服を着てダンスを踊る人がたくさんいた。このような経緯からも、「ライトノベル展2025」は一昔前なら秋葉原向きのイベントだったと思うが、まさか渋谷のど真ん中で開催されるとは、時代の変化を感じずにはいられなかった。
また、1973年にオープンして以来、若者文化の発信基地となり、渋谷を若者が集まる街に変貌させた商業施設といえば「渋谷PARCO」だろう。2019年には建て替えを終えて再オープンしたが、館内には「任天堂」や「ポケモン」、「ジャンプ」「CAPCOM」「SEGA」「ゴジラ」……など、日本を代表するコンテンツを扱う公式ショップが多数入居している。
そして、「渋谷PARCO」の近くにある商業施設「渋谷BEAM」には、「アニメイト」と「まんだらけ」が入っているし、そのそばにはアニメの中古グッズを扱う「らしんばん」が店を構える。さらに、渋谷は大型書店やレコードショップもあるため、声優やアイドルのサイン会、握手会などが開催される機会も多くなっている。
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