「秋葉原」「池袋」に続く新たな“オタクの街”とは…スクランブル交差点に「涼宮ハルヒ」、レコードショップで声優の握手会が開かれる時代が訪れるとは

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オタクとファッションの両立

 渋谷にオタクやコンテンツ関連の店が増殖しているのは、漫画、アニメ、ゲームが20年前と比べれば劇的に世間に浸透し、オタク以外の人たちも普通に楽しむようになったためであろう。オタクのイメージも変わった。以前ならオタク趣味は隠すものであったが、いわゆる推し活が普及し、「自分はオタクです!」と堂々と主張できるようになった。

 極論ではあるものの、2000年代のオタクといえば、『電車男』に登場するようなファッションには無頓着で、リア充とは程遠い存在というイメージがあった。ところが、現在はそういったオタク像は過去のものとなりつつある。例えば、推しのイメージカラーのネイルを楽しんだりする人は増え、オタクとファッションを両立させているのだ。

 8月28日、前作から13年ぶりとなる人気アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」の新作映画が公開された。13年前と違うのは、ファッション系のインフルエンサーの女性が映画を観賞し、鹿目まどかや暁美ほむらなどのキャラクターのぬいぐるみを買い求め、SNSに投稿していたことだ。「こんなリア充っぽい人が『まどマギ』を見ているのか!」と、驚いてしまった。

 このようなSNSを駆使した現代的なオタク文化の楽しみ方が、若者文化やファッションの文化と結びついたことで、渋谷が秋葉原や池袋に続くオタクの街になってきたのではないかと考えられる。20年前、落合氏のオフ会の会場が「渋谷だと怖い」と言ったオタクは、今の渋谷の変わり様をどのように思っているだろうか。

秋葉原、池袋、渋谷で街の性質が異なる

 渋谷系、アキバ系という言葉も、もはや死語になってしまった感がある。しかし、秋葉原、池袋、渋谷では、展開されるオタク文化の様相がかなり異なっているようだ。マニアックな品物を扱う小規模な専門店や、中古品を扱うショップは依然として秋葉原が強いし、圧倒的に層が厚い。池袋は女性オタクの聖地として圧倒的な存在感がある。

 渋谷は、企業の公式グッズや、最新のコンテンツなどを扱う店が多い印象である。これは、渋谷が「渋谷PARCO」の開業以来、半世紀以上も若者文化の発信基地であり続ける伝統を受け継いでいるのかもしれない。秋葉原は決して衰退したわけではなく、むしろ地域ごとの個性が明確になったといえるし、オタク文化の裾野が広がったといえるだろう。

 オタク文化は渋谷に溶け込みつつあるし、今後、さらに受け入れられていくのは間違いないだろう。ただ、オタクのファッション化が進んだ結果、2000年代には多くいた濃いオタクは減ったとか、地下に潜ったという意見も聞かれるようになった。

 それが良いのか、悪いのかは、なんともいえないところである。しかしながら、「好きなものは好き!」と、堂々と推しや趣味を主張できるようになったという意味で、筆者は今の若者たちがとても羨ましく感じてしまうのであった。

ライター・山内貴範

デイリー新潮編集部

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