40万~60万円「赤ちゃんヘルメット」は本当に必要? 絶壁頭矯正で急拡大、ビジネス化も…「病気が見落とされるリスクが」
半年間ほぼ24時間
その治療法は、頭部の形に合わせてスポンジを入れたヘルメットを作成。多くの歪みは、寝ている時に頭の重みで床に接した部分の血流が悪くなり、十分に成長しないのが原因だ。そこでヘルメットで圧迫から保護し、頭部を均等に形成する。頭蓋骨の柔らかい生後3~6カ月が治療対象で、半年の着用期間はほぼ24時間着けっぱなしというから、やや安全性が気になるところではある。
「治療効果は有効とされていますが、皮膚炎などのリスクがあります。病気でない場合は必ずしもヘルメット治療が必要なわけではありません。親御さんが、装着期間を過ぎても“かわいいから”“安心感がある”といって着け続け、その結果、覆われていない耳の周りの骨が出っ張ってしまった事例もありました」(杉原氏)
10万円で紹介
急激に市場拡大したことで、ビジネス的側面が強まっている点も挙げておこう。さる小児科医の話。
「数値に異常がなく私は矯正を断ったのに、その患者が他の病院で矯正を勧められたケースがありました。ヘルメットメーカー経営のクリニックから、1人につき10万円支払うので患者を紹介してくれと依頼されたこともあります」
もはや“一大市場”と言っても過言ではあるまい。関西医科大学教授で、日本小児神経外科学会の埜中(のなか)正博理事長が警鐘を鳴らす。
「治療が脳機能に与える影響について、現状では否定的な論文はほとんどありません。しかし、患者の長期追跡データはまだなく、将来的には分かりません。一番心配なのは、頭蓋骨についての知識が浅い医師の参入です。頭の変形が寝癖によるものか、“頭蓋骨縫合早期癒合症”などの病気によるものか、判別せずにヘルメット治療を始め、病気が見落とされるリスクがある。いかに専門知識のある医師に歪みの原因を診断してもらえるかが重要です」
こまめに頭の向きを変えてあげるのが、なによりの愛情であろう。
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