加熱する「巨人VS阪神」のデッドヒート…随所で目立つ“橋上采配”に「監督は生え抜きのエースか4番」という巨人の伝統は変わるか

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伝統球団の方針を変えた

 チームの好調さを振り返ると、若手登用以外にも、これまでの巨人とは異なる橋上采配が見えてきた。一例が投手の管理だ。

 去る7月9日のことだ。東京ドームでの阪神戦で、1勝1敗で迎えた3戦目の先発マウンドを任されたのは則本昂大(35)。初回こそゼロに抑えたが、2回に前川右京(23)に逆転2ランを献上し、3回も死球を挟んで3連打を浴び、スコアは1対5。だが、橋上代行は則本の続投を選択した。4回にも1失点、5回にも2失点。点差は7まで広がったが、その間、橋上代行は則本を代える様子は全く見せなかった。

 本来の調子を取り戻すための我慢だったかもしれないが、これまでの巨人であれば、「捨てゲーム」は作らない。それは昭和、平成のプロ野球界を牽引してきたという球団の自負であり、巨人戦のチケット入手が困難とされた時代もあったからだ。

「今年、この試合にしか球場に来られないお客さんもいる」

「初めて観戦するお客さんもいるかもしれない」

 そんなファンを前に、「捨てゲーム」などとんでもない。最後まで勝利をあきらめない――これが球界の盟主として、伝統球団として培われた野球観だった。しかし、

「則本が5回まで投げてくれたおかげで、リリーフ陣を消耗させずに済みました。橋上代行は、次の試合以降も連投で投げられない投手を作りません。投手陣のマネジメントにも長けています」(前出・スポーツ紙記者)

 と、好意的な意見が多く聞かれた。また、13日に再昇格したが、キャベッジ(29)のファーム再調整に驚いた関係者も多かった。降格の理由は打撃不振だったが、橋上代行は記者団にこう語っていた。

「(キャベッジの)頭の中を整理させる。いろんな数字を見せながらウィーラー(打撃コーチ)とともに(本人とも)話をしました。得点圏での相手の配球の意図を踏まえながらできるか。改善してくれることを祈っています」

 指摘されたのは、キャベッジの得点圏打率の低さ。二軍降格が決まった8月3日時点では1割8分2厘で、7月の打点はわずか2。首脳陣が再調整に踏み切ったのは当然だが、勇気のいる決断でもあったはずだ。このとき、キャベッジに代わって昇格したのはルーキーの皆川岳飛(23)。対戦投手の目線で「キャベッジと皆川のどちらに脅威を感じるか」と聞かれれば、不振とはいえ、一発の脅威を秘めた外国人スラッガーのほうだ。おそらく、これまでの歴代巨人監督であれば、スタメンから外すことはあっても、シーズン中、それもペナントレース佳境の8月に再調整に踏み切る決断はできなかっただろう。

「全員野球」で

「7月下旬、若林楽人(28)を埼玉西武ライオンズに帰還させる金銭トレードがまとまりました。時期を同じくして、今季からメキシカンリーグで活躍しているエリエ・ヘルナンデス(31)がNPB帰還を働き掛けているとの一報も飛び込んできました。若林のトレードで70人の支配下枠が1人空いたので、ひょっとしたらとも思ったんですが」(前出・同)

 その最後の1枠を掴んだのは育成の鈴木大和(27)だった。俊足がアピールポイントの外野手である。一発よりも走塁と守備力が決め手になった。橋上監督代行がよく口にするのは、「全員野球」。それもベンチ入りメンバーだけではなく、70人の支配下登録選手の全てを指しての言葉だ。

 また、同率首位で迎えた3連戦を全敗したことで「歴史」が変わった。2001年以降、つまり、21世紀の両チームの対戦成績は阪神310勝、巨人309勝(ともに23分け)。2リーグ制導入以降のトータルではまだまだ巨人のほうが上だが、令和時代は阪神優勢となった。チーム戦力と戦略について見直すときなのかもしれない。今オフ、巨人は歴史的な大転換期を迎えそうだ。

デイリー新潮編集部

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