憧れのアイドルを“客席から見るしかない自分”が辛くて涙…普通なら卒業する年齢で「私は始める」元アパレル社員が“最後の挑戦”でつかんだ夢

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「普通なら次の人生を考えるような年齢」

 最終面接として呼び出された場所には、カメラとメンバーが待っていた。告げられたのは合格だった。

「うれしい気持ちと同時に、喜びをかみしめる間もなく、頑張ろうという覚悟に変わりました。普通ならアイドルをやり切って次の人生を考えるような年齢で、私は始める。もう、この人生を頑張ろうって」

 会社にはオーディションを受けていることを伝え、合格までは仕事と両立した。店長は翌月、兵頭がいない前提でシフトを組み、最後の出勤日には同僚たちが送り出してくれ、後にライブにも来てくれた。それは兵頭が、夢を追うために目の前の仕事を投げ出さなかった証しでもある。

 社会人を経て、アイドルとしては遅いスタート。加入後は未経験ゆえ、歌やダンスで壁にぶつかり続けている。だが、つらくはない。

「アイドルとして、アイドルがぶつかる壁にぶつかっていることがうれしいんです」

「あの時、私、そこにいた」

 グループに加入して1か月後の2025年12月29日には大舞台となるZepp DiverCityのステージに立った。その場所は、道重さゆみのラストライブを客席から見た場所でもあった。

「客席を見ながら『あの時、私、そこにいた』と思って。すごく嬉しかったですし、道重さんと同じステージには立ってるんですけど、自分の理想のアイドルではまだ全然なくて。その理想をどこまでも追い続けたいなと思いました」

 憧れた側から、憧れられる側へ。目指すのは、自分だけの世界観を持ちながら、グループとファンへの大きな愛を伝えられる人だ。

 グループだけでなく、ソロとして水着グラビアにも挑戦し、初々しさと清楚なたたずまいで評判を呼んでいる。水着での撮影に最初は不安を抱えたが、撮影を通して「体の一部分ではなく、写真全体でかわいさを作る」面白さを知った。

 将来はアパレルで働いた経験も生かし、個人ではファッション誌にアイドルとして掲載されること、グループとしては日本武道館ライブを目標に掲げる。

 兵頭はアイドルを「夢」と表現する。かつてアイドルのライブに行くたびに泣いていたファンは、今度はアイドルとして誰かに希望を渡す側になろうとしている。

徳重龍徳(とくしげ・たつのり)
ライター。グラビア評論家。ウェブメディアウォッチャー。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。その後、テレビ局のオウンドメディア編集長を経て、現在はフリーライターとして雑誌、ウェブで記事を執筆している。著書に日本初のグラビアガイドブック「一度は見たい! アイドル&グラビア名作写真集ガイド」(玄光社)。noteでマガジンを連載中 X:@tatsunoritoku

デイリー新潮編集部

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