真夏の祭典「オールスター戦」こぼれ話…出場しない選手やスタッフにとっては“オールスター休み” 「シーズン中で唯一、子どもと旅行に行けるチャンスでした」
日程との兼ね合い
試合数が減れば、移動も含めた日数も短くなります。オールスター休みが短くなった一因ですが、私はもう一つの大きな原因があると思います。
それは交流戦です。
NPBの交流戦は、MLBのインターリーグゲームと違い、集中して試合を行い、スポンサーをつけて交流戦での順位を付け、優勝チームには賞金が渡されます。
このため、期間を区切って交流戦のみを行い、順位確定のため交流戦で雨天中止になったカードは「交流戦予備日」で完全に消化する仕組みになっています。今年がまさにそうでしたが、梅雨時期と重なるため、中止になる試合がでます。そのため、予備日は交流戦終了の翌月曜日から木曜日まで、4日間設定されています。
交流戦が始まるまではシーズン中に試合がない日が続くのはオールスター休みだけでしたが、今は交流戦予備日とオールスター休みの2回になりました。
長年続いた130試合制が崩れた1997年以降は徐々に試合数が増え、多少の増減を経て現在は143試合制となっています。両リーグとも、日にちが決まっているクライマックスシリーズを経て日本シリーズという流れの中で、クライマックスシリーズ開始までに全日程を終了するためにはシーズン中に「試合がない日」が多くなると、雨天中止代替試合などもあわせ、シーズン終盤に日程がタイトになるという問題が生じます。
ある程度の雨天中止を見込んで、予定通り日本シリーズまでの日程を消化するために、かつての4月初め開幕が3月末に一週間前倒しされているのも終盤に日程がタイトにならないための対応です。
そのため、2試合のゲームと前後、計4日のオールスター休みになったのでしょう。
シーズンが進めば進むほど、体のどこにも問題(けがや不調)を抱えないでプレーしている選手はいないと言われます。
痛みを抱えた選手にとっては、オールスター休みはシーズン中にチームに迷惑をかけることなく体を休めることができる、よい期間です。しかしその期間は以前に比べ、かなり短くなっています。日程との兼ね合いは仕方ないにしても、このシーズン中の、貴重な休みが短くなったことで十分な休息をとることができないとなると、その後のプレーに影響が出ないか心配です。
また、プレーとは関係ありませんが、常にチームとともに行動するスタッフや裏方さんにとって、オールスター休みはつかの間の休息でした。特にお子さんがいる人にとって、夏休みに入って、ちょっとした旅行に連れていける唯一のチャンスでした。今の若いスタッフたちは、きちんと家族サービスができているのか心配になります。
ちなみに、我々スポーツアナウンサーのオールスター休みはというと……放送時に使いやすいよう、自分で工夫して作るチームや各選手のデータ作成をやらなくて済む、ありがたい期間でした。
交流戦が始まってからは、12チームのデータを毎日つけていますが、私の場合だとトータル2時間かかります。休みの日でもやっておかないと、やらなかった翌日に4時間かかってしまうため、シーズン中は休みでも2時間は資料作りをするという生活でした。
ほんの数日とはいえ、データ作成から解放されるオールスター休みは、本当の意味で休める貴重な時間だったのです。
高木守道監督の差し入れ
オールスター休みが一週間近くあった時代に、印象的な思い出があります。
中日ドラゴンズで高木守道さんの第1次政権のこと。日中、炎天下での練習が終わろうとしている時、高木監督がマネジャーを呼んで何か指示しました。しばらくすると、氷を入れたバケツに、さまざまなメーカーの缶ビールが満載に盛られて運ばれてきました。
高木監督は意気揚々と、こう仰いました。
「報道陣もこんな暑い中、取材して大変だろう。これは球団にお中元で送られてきたビールだ。遠慮しないでみんな飲め」
しかし、私たちは勤務中。突然のことに戸惑う我々、報道陣でしたが、お酒には目がない私などは、思わず手を伸ばしそうになりました。その時、中日新聞運動部のキャップが「我々は勤務中です。アルコールをいただくことはできません」ときっぱり断りました。
「そうか」と、寂しそうに答えた高木さんの顔を、今でも忘れることができません。良かれと思って出したビールでしたが、断られた高木さんは「俺は下戸で飲まないから、みんなに飲んでもらおうと思ったんだけどな」と残念そうに見つめていました。
今の若い人にとっては、これも年寄りが語る「古き良き時代」の一節なのでしょうか。
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