「名門大卒・年収800万」50歳おひとり様の口座残高は100万円「不安と劣等感」から生まれる物欲【FPが助言】
家計簿をきっちりつける几帳面な母親の「あんたはダメな子」という烙印
もう一つ、奈津美さんが貯蓄できていない要因となっているのが、幼いころから染みついたお金に対する過剰なまでの苦手意識だ。
奈津美さんの母は、非常に几帳面な専業主婦で、毎日の出費をきちんと家計簿につけ、完璧に家計を管理していた。
「母が眉間にしわをよせて夜な夜な家計簿をつける姿を見て、子ども心に『お金の管理って大変そう』と思っていました。そしてその母からは、『お小遣い帳もつけられないなんて、あんたは本当にお金の管理ができないダメな子ね』と言われ続けて……」
お金については、「どうせ私が考えたって意味ない、とにかく赤字を出してないからいいか」と思考停止してしまっていた。
【FPの処方箋①】「夜11時に寝る」生活で心身を整える
「奈津美さんのように、高学歴・高収入なのにお金を貯められない方は、けっこういらっしゃいます」
さまざまな「お金が苦手な人」の相談を受けてきたFPの山口京子さんはそう語る。
「なぜお金を使いすぎてしまうのか。よくよく聞いてみると、多くの場合、その人の心の奥底に不安が巣くっているんです。お金を使って不安をなんとかしようとしている……。収入の多い少ないに関係なく、自信のなさからそういう行動パターンにはまってしまうようですね。自分の好みとは関係なく、ブランドものにすがってしまうなどの見栄消費や夜中の衝動買いもそのひとつの表れです」
奈津美さんがはまったような見栄消費の悪循環を断ち切るために、山口さんが授ける処方箋は、FPらしからぬ意外なものだ。
「まず今日から、夜11時までに布団に入って寝ること! 不安や劣等感を抱えている人ほど、お酒を飲みに出たり、おとなしく家にいるときでさえ、なぜか夜中までSNSなどで『電車内で大騒ぎする外国人』や『不倫のドロ沼劇』といった、イライラする情報を見続けたりする傾向があります。そして、その鬱々とした気分のまま、深夜のネット通販でいらないものをポチポチと買い漁る。夜中の買い物は、お金を失い、不要なものを増やし、睡眠時間を削ってメンタルを蝕む『百害あって一利なし』の行為。まずは飲み歩くのをやめ、11時就寝を守り、睡眠時間を確保してください。生活リズムを整えるだけで、無駄な消費はかなり防げます」
【FPの処方箋②】出費ではなく「行動と感情のライフログ」を書き出す
奈津美さんのように赤字寸前の家計については、「家計簿アプリで収支を把握して」といったアドバイスが考えられる。しかし、山口さんはそれとは異なるアプローチを推奨している。
「真面目で優秀な人によくあるパターンなんですが、親御さんのお金教育が行き過ぎてしまって“お金は怖いもの”“1円単位できちんと管理するなんて無理”“お金にこだわるなんて卑しいこと”という意識が刷り込まれていることが……。お金のことで失敗させまいという親心が、わが子をマネー管理から遠ざけてしまうのです」と分析する。
お金に対する苦手意識を強く持ちながら散財してしまう人については、山口さんはまずは家計簿の代わりに「1日の行動と、その時の感情」をノートに書き留めるワークをすすめている。
「出費というものは、自分の『考え方と行動』が、最終的に数字という形になって表れたものです。だから、数字だけを追う前に、自分の行動やそれに伴う感情を可視化してみましょう。『~時:SNSで炎上記事を見て胸糞悪くなった』『~時:イライラしてデパコスで限定リップを衝動買いした、その時は一瞬スカッとした』というように、ライフログをつけていくのです」
自分の行動を客観的に見つめ直すと、「私は自分を慰めるため、不安を紛らわせるためだけに、この買い物をしていたんだ」という事実に改めて気づく瞬間が訪れる。その原因が「母親への劣等感」であれ「友人への見栄」であれ、原因となった不安に自分で気づくことこそが、歪んだ物欲を根本から解消する第一歩となるのだ。
「人間の習慣を変えるには最低でも3週間はかかるといわれています。まずは3週間、11時就寝と感情日記を続けてみてください。年収300万円でも自信を持って幸せに暮らしている人は大勢います。たっぷり眠って心の健康を取り戻すこと。それこそが、背伸びした消費で擦り切れた人生を、本当の意味でバラ色に変えるための、最強の資産防衛術なのです」
※プライバシー保護のため、記事中の事例は、具体的な状況の一部を変更しています。
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