三菱UFJが取り組む「三菱っぽい香り」開発の狙いとは?

ビジネス

  • ブックマーク

 本社の受付を通ると、ほのかな香りが鼻をくすぐる。森の中にいるような、それでいてさっぱりした印象もある。三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下MUFG)の説明によると、匂いの名は〈Hinoka〉。ヒノキの林を散策しているような、爽やかな山の空気の清涼感を表現したものだという。

 MUFGでは目下、グループを象徴する香り、題して「MUFGフレグランス」を選ぶ投票が行われている。6月下旬から1週間ごとに受付などに置くフレグランスを替え、三菱UFJ銀行などのグループ社員や来客に好みを選んでもらうという趣向だ。〈Hinoka〉は三つにまで絞り込んでいる香りの候補の一つだ。なぜ、日本を代表する金融グループが、“香り”を作っているのだろうか。

三菱UFJの狙いは?

 三菱UFJ銀行に聞いてみると、

「2024年度に『MUFGオフィス戦略』というオフィス作りの方針を総務部で策定しており、その中では、五感や心身への刺激によって、社員が快適に働くことができる空間作りを大切にしております。執務室ではエルゴノミクス(人間工学)やバイオフィリア(自然志向)に配慮した取り組みを行っておりますが、お客さまを迎える応接空間では、香りが記憶・体験と密接に結び付く特徴を踏まえ、MUFGのブランディング効果を企図し、開発に着手いたしました」(広報部)

 従業員の職場環境に気を配りつつ、来訪客にも「これが三菱UFJの香りか」と覚えてもらうのが狙いというわけだ。

 加えて、MUFGでは2030年に新本館ビルの竣工を予定している。そこには三菱UFJ銀行だけでなく、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券なども集まる。銀行、信託、証券の一体化を目指しての“香り作り”とも見てとれる。

 実は、企業が独自の「香り」を作るのは目新しいことではない。

「コーポレートフレグランスといって、企業の認知効果を狙った戦略です。CI(コーポレートアイデンティティー)の一種で、一般的には企業のロゴやカラーといった視覚で表現するのですが、匂いはより記憶に残りやすい。以前は日立製作所のグループ会社でも同様のことを行っており、最近は消臭剤で知られるエステーもコーポレートフレグランスを作っています」(香水に詳しいジャーナリスト)

 現在、最終候補に残っているのは、冒頭の〈Hinoka〉のほかに、お茶の香りがする〈White tea fusion〉、そして、日当たりの良い空間を連想させる〈Happy〉だという。

「三菱UFJっぽい香り」が最終的に決まるのは、7月中旬。店舗に足を踏み入れたら、口座を作りたくなってしまう芳香に違いない。

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。