「南米の選手より日本人を獲りたい」 欧州サッカーで日本人が選ばれる理由 「選手が飛躍する”拠点”となるチームの存在も大きい」

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「晩熟型」を見落とさず

 才能を開花させる過程で重要な育成システムも、日本では独特の進化を遂げてきたという。

「まず日本サッカー協会が優秀な選手を発掘して育成するための『トレセン制度』で、全国の小中学生世代の有望選手を漏らさず見つける情報網ができました」

 とは、前出の大塚氏。

「その後、Jリーグ設立によってジュニアユースやユースなどの下部組織、つまり部活以外の選択肢が大きく広がります。欧州ならばプロクラブの育成組織一択のところ、日本は高校サッカーの人気もあり部活も共存した。結果、クラブユースと高校サッカーという2本柱が各々の特長を生かして選手を輩出する独自の育成文化ができたのです」(同)

 11年には、強豪高校やクラブユースチームが年間を通じて戦う「高円宮杯プレミアリーグ」も設立。さらに、大学サッカーという選択肢もある。

「『職業としてのサッカー』が定着している欧州では、10代前半からプロになれるかどうかの“足切り”が始まり、17歳前後でしかるべきカテゴリーにいないと上に進めない明確な選別がある。一方で日本人選手は、大学卒業後に芽が出る『晩熟型』の活躍も目立ちます。多様なキャリアパスがあることで、才能を見落とさないようにするシステムが機能しているのです」(同)

飛躍する選手たちの拠点となっているチーム

 そして現在、飛躍していく選手らの一大拠点となっているのが、ベルギー1部リーグの「シント=トロイデン」である。

「17年に日本の『DMM.com』が経営権を取得。以来、日本人選手の欧州でのステップアップに寄与してきました」(前出のデスク)

 今回の代表では、谷口彰悟と後藤が在籍。また過去には冨安健洋や遠藤航、鎌田、中村敬斗や鈴木彩艶も所属していた。ベルギーリーグは外国人枠の制限がないため出場機会が得やすく、

「サガン鳥栖からフランクフルトへ移籍した鎌田は、当初は思うように出場機会が得られなかった。そこでシント=トロイデンにレンタル移籍し、プレースタイルを見つめ直したのです。当時は冨安や遠藤が在籍していたことも大きかったでしょう。また中村も一度オランダリーグで苦戦しましたが、このクラブで自信を取り戻し、その後オーストリアへ渡って現在の活躍につながっている。つまり“再出発の場所”でもあるわけです」(サッカーデータアナリストの佐藤祐一氏)

 さて、4年後へ向けた戦いはすでに始まっている。先のデスクが言う。

「さらに上を目指すには、ブラジルのヴィニシウスのような世界最高のアタッカーを、一対一である程度抑えられる選手を育てなければなりません」

 ハードルは、なお高いのだ。

週刊新潮 2026年7月9日号掲載

特集「W杯 ブラジルに敗れても天晴れ『森保ジャパン』」より

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