学習用AIで新たな「教育格差」が……「都内中高一貫校」のAI導入に「地方進学校」の保護者からあがる不安の声とは

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AI導入に慎重な学校は

 東海地方在住で地域トップの進学校に通う高校2年の男子生徒は、学校の生成AIの活用に物足りなさを感じているという。学校側はAI利用に慎重な姿勢を取っており、実際に授業で活用されているのは英語のみ。生徒個人で調べ学習に使うことはあるものの、学校からはあまり使わないよう指導されていると話す。

「まずは自分の頭で考えることが大事だからという理由です」

 話を聞くと、唯一導入が進んでいる英語の授業でも、その使い方はかなり限定的だ。授業では、与えられたテーマについて最初に手書きで英作文を作成。その後、翻訳アプリ「DeepL」に打ち込み、英英翻訳をかけ、英語の表現を確認する。生徒たちは、生成された文章と自分の英文を比較し、異なる表現が見られた際には手書きしていたプリント上で修正し、先生に提出するという流れだ。

「歴史の授業でも、まずは手書きで覚えるように言われています。海外ではタブレット化を進めた結果、学力が落ちたという話もあるらしく、“まずは書いて覚えよう”という指導ですね」(先の男子生徒)

 確かに欧米では、学校教育における生成AI利用を限定的にする動きもある。しかし、その議論の中心はすでに「使うか、使わないか」ではなく、どう活用し、思考力の向上や学習効果につなげるかに移っている。

学校ごとのAIの活用格差

 しかし、国内でも積極的に生成AIを授業に取り入れている学校もある。都内の難関私立中高一貫校では、同じく高校の英語の授業で生成AIの活用が始まっていた。授業の冒頭、教師が最初にプロンプトを指定するところからスタート。生徒たちは同じテーマについて自分の意見を書いた英文をAIに読み込ませ、その結果をもとにグループ学習を行っていた。生成AIからどのような添削や指摘が返ってきたのかを互いに共有しながら、なぜその文法がミスと指摘されたのか、どうすれば自然な表現になるのかを議論していた。
 
 前出の進学校と同様、英作文をAIに添削させるという部分など、基本的なプロセスは変わらない。しかし、後者の学校ではAIを「答えを出す道具」としてではなく、「対話を生み、思考を深めるツール」として活用するための工夫が見られる。

 男子生徒の母親(前出)は、こうした学校間の差に不安を感じていると話す。

「もちろん、自分の頭で考えることは大事だと思います。でも、AIを使いながら思考力を高める学び方もできるはずです。すでに取り組んでいる学校があると知ると、どうしても学校間の環境差を感じてしまいます。これも地方と都市部の教育格差なのでしょうか」

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「新潮QUE」にて公開中の関連記事【女子高生の6割がAI活用で広がる「教育格差」――難関校ではAIをいかに導入しているか】では、教育現場でAIはどう用いられるべきなのか、文部科学省のガイドラインや各校の導入例から読み解いている。

宮本さおり(みやもと・さおり)
ジャーナリスト。地方紙記者、専業主婦を経てフリーランスの記者。子育て、教育現場、ワークライフバランスなどの分野を多く取材。『東洋経済オンライン』の連載「中学受験のリアル」が反響を呼び、東洋経済オンラインアワード2020「ソーシャルインパクト賞」を受賞。著書に『データサイエンスが求める「新しい数学力」』(日本実業出版社)、『中学受験のリアル』(インターナショナル新書)など。

デイリー新潮編集部

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