地方大会から目が離せない “超高校級ドラフト候補”横浜・織田翔希と山梨学院・菰田陽生が背負う「最後の夏」

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圧倒的なスケール

 菰田の魅力は、織田とは別のところにある。

 195cm、100kgという高校生離れした体格を誇り、好調時には150キロを超えるストレートを投げ込む。ただ、織田のように安定して速いボールを投げ込むタイプではない。

 中学時代に右肘を痛めていたこともあり、起用は比較的慎重だ。初めて出場した2年春の甲子園では、リリーフで3イニングの登板にとどまった。昨年夏は先発で安定した投球を見せたが、準決勝の沖縄尚学戦で肘の違和感を訴えて1イニングで降板。秋は明らかに本調子ではなかった。

 さらに今年春の選抜では、一塁手で出場した際に打者走者と交錯して左手を骨折。登板がないまま甲子園を去っている。

 評価の根底にあるのは、将来性の高さと、打者としての規格外のスケールである。

 昨年秋の関東大会では3試合で12打数7安打と5割を超える打率を残し、準々決勝の浦和学院戦ではセンターバックスクリーンへ特大の一発を放った。今年春の選抜でも、第1打席で初球をとらえ、打った瞬間に分かる本塁打をレフトポール際へ運んでいる。野手として見てもドラフト1位候補という声は少なくない。

 前出の関東地区担当スカウトは、菰田のスケールをこう評価する。

「織田に比べるとまだまだ完成度は低いですが、良い時のボールは目を見張るものがあります。打者の手元で勢いが落ちない。体が大きいわりに腕の振りはコンパクトなので、打者もタイミングが取りづらいと思います。まだ少し体を持て余しているところがあるので時間はかかると思いますが、数年後には驚くようなボールを投げるようになっていることも考えられるでしょう。ピッチングだけでなく、バッティングも下級生の頃とは別人のように良くなっていますね。遠くへ飛ばす力は高校生ではナンバーワンではないでしょうか。タイミングのとり方やボールの待ち方にも余裕が出てきました。投手か野手かは意見が分かれると思いますが、どちらにしても圧倒的なスケールの大きさがあることは間違いないです」(前出の関東地区担当スカウト)

 選抜後の春季大会は、骨折した左手のリハビリでベンチ入りメンバーから外れた。ただ、すでに練習試合で実戦復帰を果たし、順調な回復ぶりを見せている。

 野球に取り組む姿勢を評価する声もある。別のスカウトは、菰田についてこう話した。

「下級生の頃から中心選手で騒がれていますが、浮ついたところが全くありません。練習に取り組む姿勢も素晴らしい。そういう意味では決して天性の才能だけの選手ではないですし、まだまだ成長が期待できると思います」

 選抜で左手を骨折した後の取材でも、悲観するコメントはまったく聞かれず。真摯に対応する姿が印象的だった。織田とは異なり、早くから進路についてNPB一本を表明している点も、NPB球団のスカウトにとって評価しやすいポイントになりそうだ。

 横浜が出場する神奈川大会、山梨学院が出場する山梨大会は、いずれも7月5日に開幕する。タイプの異なる2人の超高校級ドラフト候補が、最後の夏にどんなパフォーマンスを見せるのか。地方大会から目が離せない。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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