出戻り「小笠原慎之介」 “中日ではなく巨人”の二つの理由
上沢式FA
「上沢式FA」というスラングがある。
ポスティングで渡米したものの振るわず、短期でNPBに出戻るも、古巣でなくライバル球団に移籍することを言う。“ズルいFA移籍じゃないか”と古巣ファンから揶揄(やゆ)されるのだ。
嚆矢(こうし)となったのは日本ハムから2年のMLB生活を経てソフトバンクに移った有原航平(現在は日ハム)だが、後にMLB滞在わずか1年で同ルートをたどった上沢直之が現れたため、スラングも“上書き”された。
阪神からも2022年オフに藤浪晋太郎、25年に青柳晃洋がポスティングで渡米。藤浪はMLB2年半でDeNA、青柳は半年でヤクルトに移籍したが、スポーツ紙記者によると、
「虎党の風当たりは弱かった。というのも、上沢らは古巣・日ハムのオファーを袖にした一方で、阪神は選手層が厚いこともあり彼らを必要としませんでしたから」
ファンは静観
6月17日、巨人は元中日でナショナルズ傘下2Aの小笠原慎之介(28)の獲得を発表した。渡米期間は1年余り。このケースはどちらにあたるのか。
「中日からオファーはなく、ファンも静観しています。 ただ、今回は先の4選手と状況が異なっていました」
上沢や藤浪らは自由契約となりフリーの立場だったが、小笠原はまだナ軍との契約期間が残っていたのだ。
「小笠原はナ軍から巨人に譲渡された形になります。MLB内の移籍や、MLBからNPBにやって来る外国人と同じ扱いです」
と、メジャー研究家の友成那智氏が解説する。
「所属元が払うべき年俸の残りは新たな所属先が肩代わりします。巨人が発表した“年俸1億8000万円”はそれに相当します」(同)
つまり、小笠原には“定価”があったのだ。
「中日がポスティングで得た譲渡金は約1億円。今の小笠原の評価からしても、その額は払えないでしょう」(同)
対する巨人は、
「先発の駒が不足。そして、カネならある」(前出の記者)
コネもあった。
「原辰徳特別顧問は東海大相模高校の先輩。国際スカウトのデニー友利氏は、元中日投手コーチで師弟関係にありました」
もっとも、友成氏いわく、
「去年まで巨人にいたフォスター・グリフィン(30)が、今季ナ軍に移籍して勝ち頭の8勝を挙げる奮闘ぶり。その穴を小笠原が埋めるというのはチグハグですよね」
巨人のチグハグは、今に始まった話ではないけれど。



