楽天「吉井新監督」就任に「シーズン途中での監督交代は“デメリット”のほうが多い」と元ロッテ技巧派投手…楽天復活“唯一の方法”は「大胆な“入れ替え”です」

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セオリーこそ合理的

 どうせ監督として指揮を執ってもらうなら早いほうがいい──ということらしい。

 しかし前田氏は三木谷オーナーの考えに異議を唱える。「新監督は今シーズンが終わるまでは“外”からチームをチェックするほうがメリットは多いはずです」と首を傾げる。

「シーズン中の監督は、対戦相手のデータを分析し、スタメンを組み、試合の指揮を執ります。これだけでも大変な激務で、あっという間に一日が終わってしまうでしょう。2軍の投手をじっくりと視察したり、自分の望むコーチ陣を組閣したりするには、監督に就任する前のほうが余裕があるに決まっています。やはり新監督は『外部だからこそ可能な仕事』を全て片付けてからチームに入るべきではないでしょうか。実際に選手と接するのは来年のキャンプが理想的であり、『自分の目指す野球』を説明して指導。紅白戦やオープン戦で選手をふるいに掛け、チームとしての完成度を高めていくのがセオリーですし、最も合理的だと思います」(同・前田氏)

 そもそも、なぜこれほど楽天は負け続けているのか、前田氏は「原因はシンプルです。チームの戦力に問題があるからです」と指摘する。

監督が替わっても奇跡は起きない

「交流戦を終えて40敗ですから、監督の指導や戦術に問題があるといったレベルではありません。そのため三木前監督だけでなく、石井一久GMにも成績低迷の責任はあると思います。しかし三木谷オーナーは監督だけを代えると決めました。吉井さんは監督要請を受諾した際、『チーム編成についても、ある程度は要望を聞いてほしい』と条件を出し、それが叶えられたのではないでしょうか。もし条件を出していないとしたら、吉井さんの今後は厳しいものになる可能性があります」

 なぜ「チーム編成の要望を聞いてほしい」と要求すべきなのか、前田氏は「1軍と2軍を大胆に入れ替えることが、今の楽天を変える唯一の方法だと考えるからです」と言う。

 前田氏がイメージするのは、アメリカのメジャーリーグにおけるチーム立て直しだ。メジャーのチーム──特に資金に余裕のないチーム──は成績が低迷して地区優勝の望みを失うと、GMは年俸の高い主力選手をトレードで放出したり、下部チームの有望選手をメジャーに昇格させたりして、チームの若返りを図る。

 前田氏は「監督が交替するとチームの雰囲気が変わり、突然、快進撃を始める──こんな奇跡が起きることは基本的にありません」と言う。

弱いチームの自己弁護

「確かに監督が替わったことでチャンスを掴む選手はいますが、その陰には新監督との相性の悪さに泣く選手が必ずいます。楽天は今の1軍選手では勝てないことが明らかになりました。そしてクライマックスシリーズに進出できる可能性は極めて低いからこそ、思い切って2軍選手を1軍に昇格させ、実戦でテストすることができます。これを利用しない手はないはずです」(同・前田氏)

 日本のプロ野球で参考になるのはソフトバンクの投手陣だという。

「エースのモイネロ投手はキューバの政情不安で来日が遅れ、今は左肩周辺の違和感でリハビリ調整が続いています。絶対的エースが欠けても、ソフトバンクは2位につけています。今、ソフトバンクの投手陣で勝ち星トップは7勝1敗の大津亮介投手ですが、小久保裕紀監督に取材したところ『最初の構想では6番手でした』と率直に語っていました」(同・前田氏)

 前田氏は「ソフトバンクの投手は自分が1軍で投げられなくなる怖さを知り抜いています」と言う。

「そのため不調を修正し、好調を維持する“危機管理”が鍛えられています。一方、弱いチームのピッチャーは『今日は試合を作ったから合格点だ』とか『3失点ぐらいなら問題ない』と自己弁護でごまかす傾向があります。今の楽天の投手陣もそういう雰囲気ではないでしょうか。まず吉井さんは1軍の選手を容赦なく2軍に落とすことで、チームに活を入れることが求められていると思います」

デイリー新潮編集部

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