なぜ中学受験で夫婦仲は壊れるのか… 弁護士が明かす「中受離婚」3つの火種

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 都心のとある弁護士事務所では、離婚相談を主に扱っている。ここに訪れる40代~50代の子持ちの夫婦のうち、実に6~7割が子供を中学受験させた経験があるという。

 弁護士は次のように話す。

「離婚の原因を聞くと、中学受験がターニングポイントになっているケースが少なくありません。合否にかかわらず、中学受験の数年間で夫婦の関係性にヒビが入り、受験後すぐでなくても、子供が高校や大学を卒業したタイミング、あるいはローンの支払いが終わったタイミングで離婚に踏み出すことがあるのです」

 現在、首都圏などで「中学受験ブーム」と呼ばれる現象が起きているが、東京都では、合格を勝ち取って私立や国立中学へ通う子供は、公立小卒業者のうち2割ほどだ。それを踏まえれば、6~7割という数字はかなり高い。

 近年、中学受験をさせる親の間に広まっている言葉がある。

――中学受験は夫婦の試金石。

 なぜ、中学受験が、夫婦関係を破綻に追いやるのか。

 バンチkaiで連載中のマンガ『教育虐待―子供を壊す「教育熱心」な親たち』で中受離婚を扱ったところ、大きな反響を呼んでいる。漫画の取材をもとに、このテーマについて考えてみたい。

中受離婚、三つの原因

 離婚相談を通じて浮き彫りになる中学受験をきっかけとした離婚。その要因は、大きく次の三つに大別できるそうだ。

1、夫婦間の受験に対する熱量の違いが、子育ての価値観の違いに繋がる。
2、中学受験にかかる金銭を発端としたトラブル。
3、親の教育虐待が家庭を崩壊させる。

 1について、先の弁護士は話す。

「現在の中学受験は、塾側が子供を長く確実に塾に縛りつけるため、親を巻き込む教育にシフトしています。親に子供の宿題を手伝わせたり、親にプリントのまとめをさせたりして、塾、親、子が三位一体で短くて3年、長ければ6年間にわたって共に勉強をさせる環境を作っているのです。

 これが夫婦の受験に対する熱量の差を生み出します。『私は仕事を休んでまでやっているのに、なぜあなたはやらないのか』『追い込みのシーズンなのに出張や飲み会なんて許せない』『成績が上がらないのは、おまえの教え方が悪いせいだ』……。こうした夫婦の衝突が積み重なることで、大きな亀裂となるのです」

 最初、大概の夫婦は、受験にかかる負担を平等にしようとする。だが、両者がまったく同じ熱量を持って行うことはない。そのズレが夫婦の衝突を生むのだ。

 中学受験の5年後に離婚に至った女性はこう語る。

「夫婦が愛情でつながっている時は、『好き』という感情でいろんなものを曖昧にして済みます。けど、中学受験がはじまった途端に価値観の違い、子供にかける時間の違い、お互いの能力の違いが、数字になってはっきりと表れて突きつけられる。結婚前、私は夫の大らかな性格に魅力を感じていたんですが、中受ではそれが『いい加減で自己中』という印象に変わりました。受験が終わっても、そのイメージは膨らむ一方で、結局別れることにしたのです」

 人の長所は状況によって短所にもなる。中学受験を挟んだ途端、「やさしさ」が「甘さ」に、「まじめ」が「スパルタ」に、「社交的」が「外で遊んでばかり」になる。それが夫婦の関係性を壊すのだ。

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