円安や“ガクチカ”で「ワーキングホリデー」人気が再燃も…専門家が警鐘を鳴らすワーホリに失敗する人の“2つの共通点”とは
(1)「英語を現地で学びながら働こう」と思っている
環境を変えれば言葉は何とかなる――。確かにその通りかもしれません。ただ、想像してみてください。もし、いまあなたの目の前に何語を喋っているのか全くわからない相手がいたとしたら一緒に仕事ができると思いますか。日本語が全く分からない外国人観光客に道案内をするくらいならばともかく、「一緒に仕事をする」のはかなり難しそうですよね。
たとえば、Aさんは「現地の語学学校に通えばきっと英語が話せるようになる」と語学習得を目的に渡航しました。しかし、当時のAさんは英語がほとんど話せない状態だったため、外国人の先生の授業を受けても、質問が上手くできませんでした。そして、十分に内容を理解できないまま授業が進み、英語習得はおろか、満足にアルバイトもできずに帰国することになったのです。
せっかく語学習得のために海外を訪れたのに、Aさんは目的が果たせなかった。そんなAさんは、帰国後に筆者の授業を受けて英語が話せるようになりました。「英語圏の国に住んで、英語を話せないまま帰国するなんて、そんなことある?」と感じるもしれません。しかし、現地でコミュニケーションの壁を感じたことで、学びへの積極性を失う人は決して少なくありません。そして、居心地の良い日本人コミュニティに居場所を求めてしまいます。気づけば日本語と簡単な英語だけで生活が完結し、語学力はほとんど伸びずに1年が過ぎるのです。ワーホリにおいても、最低限の意思疎通ができる英語力は渡航前に必須と言えます。
(2)ワーホリの目的が「自分探し」
もちろん、ワーホリへ行く際に目的があることはとても重要です。とはいえ、漠然とした目的は、漠然とした結果しか生みません。「何かを変えたい」という感覚は否定しませんが、「1年後に何ができるようになっていたいか」という具体的なゴールを設定せずに渡航すると、時間だけが過ぎていきます。
Bさんは、いまの自分を変えるため、みんなとは違った経験を積みたいと考えてワーホリへ参加しました。学校やエージェントから紹介された勤務先は、現地の日本食レストランでした。結局、Bさんはそこで皿洗いのアルバイトをして生活費を稼ぎながら、バカンス気分で悠々自適な1年間を過ごしました。
おかしいと思いませんか?「みんなと違う経験がしたい」「新しい自分を見つけたい」と日本を飛び出したはずなのに、気づけば日本の飲食店でも経験できる仕事のルーティンを毎日こなしていただけなのです。確かに、ワーホリで外国に長期滞在したこと自体は、特別な経験だったかもしれません。帰国後に企業の採用面接を受ける際には、「ワーキングホリデーを利用して1年間海外で生活し、現地の飲食店で勤務した経験があります」と胸を張ることでしょう。しかし、採用担当者はおそらく次のように感じるはずです。「海外で皿洗いのアルバイトをしていた人をなぜ採用しなければならないのか」と。つまり、ゴール設定の甘いワーホリは、就職に有利なキャリア構築ではなく、履歴書の空白を埋める効果しかないのです。
「ワーホリに失敗する」の真意
ワーホリ人気が再燃するなか、人気のある渡航先では“皿洗い”のような単純作業ですら職にありつけず、現地の炊き出しに並ぶ若者の姿も報道されました。ワーホリビザは残っているのに生活苦が原因で帰国せざるを得ないケースも相次いでいます。
泣く泣く帰国したという相談者やその親御さんから「支援のあり方」や「円安」を嘆く声を聞くたびに、もっと早く相談に乗りたかったとの思いに駆られます。
しかし、脆弱な支援体制や、厳しい社会環境だけがシビアな現実を招いているのかといえば、そうとは言い切れません。ワーホリを志す若者の皆さんには「自分を変えたい」という思いを大事にしつつ、人生の分岐点を無駄にしないため、いま一度、冷静に立ち止まって具体的な「目的」について考えてほしいと思います。





