「日本もアメリカの政策金利の3.75%の水準まで金利を引き上げればいい」 アベノミクスのブレーン浜田宏一が指摘する「植田日銀の金融政策は『臆病』だ」

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 6月15、16日に開催された日本銀行の金融政策決定会合で、中東情勢による物価上昇リスクを受け、0.75%の政策金利を1.0%へ引き上げることが決まった。その水準は1995年9月以来ほぼ31年ぶりだという。

 アベノミクスを理論面から支え、安倍晋三政権で内閣官房参与を務めたエール大学名誉教授の浜田宏一氏は、現在の植田和男日銀総裁について、アメリカと比較して低金利で政策運営する姿勢を「極端に臆病」と評価する。なぜそう考えるのか。その理由を聞いた。

※新潮社の新潮QUE【アベノミクスのブレーン浜田宏一、かく語りき】などの一部を再編集した記事です。

植田総裁は「極端に臆病」

 植田和男日銀総裁の金融政策運営について、私は極端に臆病だと思っています。現在の日本の政策金利1.0%は低すぎる。早いうちから金利を上げることが必要です。アメリカの政策金利が3.75%にある状況で、日本だけが低金利を続けると、円を借りてドルで運用するだけで利益が出るという「キャリートレード」が生じています。その結果、円売り・ドル買いが進み、円安に伴い物価も高騰します。低金利政策を終わらせて、極端な話、日本もアメリカの政策金利の3.75%の水準まで金利を引き上げればいいと思っています。

 ただ、その際に生じるショックへの対応は難しい問題です。植田総裁は2024年7月の日銀金融政策決定会合で政策金利の引き上げを決めた途端に、歴史的な株価の暴落になったということもあります。確かに金融政策は、物価の動向だけでなく、雇用や景気への影響も考慮しながら決めなければなりません。金利を引き上げればインフレを収める効果を期待できますが、その一方で企業収益の悪化や失業者の増加につながる恐れもあります。

 一時的にはスタグフレーションのような状況も覚悟しなければならないと考えています。インフレ局面で、物価だけをスムーズに下げていくような経済政策は世の中に存在しない。日本を取り巻く経済情勢が悪くなっているので国民は我慢するしかないのです。それが一部の国民にとってかわいそうなことであれば、それについては財政の支援も必要でしょう。物価の安定と経済活動のバランスをどれだけとるかが、植田総裁の政策運営の手腕にかかっていると思います。

 また財務省は為替介入の権利を持っていますが、現在の変動為替制度の下では為替レートを決めるのは第一に金融政策、第二に財政政策です。日銀の金融政策の結果で為替レートが大きく変わるのです。いくら財務省が為替介入をしたとしても一時的に円高になれど、為替レートが変わらないというのは経済学の常識です。

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 新潮社の新潮QUE「アベノミクスのブレーン浜田宏一、かく語りき」では、浜田氏にアベノミクスの成果と課題を振り返ってもらうとともに、積極財政を掲げる高市早苗政権について進むべき方向性について語ってもらっている。

浜田宏一(はまだ・こういち)
1936年東京都生まれ。1958年東京大学法学部卒業、1960年同経済学部卒業。東京大学教授、米エール大学教授、内閣府経済社会総合研究所長などを経てエール大学名誉教授。著書に『経済成長と国際資本移動』『金融政策と銀行行動』(共著)などがある。

デイリー新潮編集部

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