判定が覆ってサヨナラ DeNAの7点差大逆転で思い出すプロ野球珍幕切れ

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審判が言うなら仕方ない

 完封負け寸前の最終回に反撃し、リクエストで本塁クロスプレーの判定が覆る。そんな幸運な逆転サヨナラ勝ちに笑ったのが、ソフトバンクだ。

 昨年7月2日の首位攻防戦。2ゲーム差で首位・日本ハムを追うソフトバンクは、加藤貴之の緩急自在の投球の前に8回までゼロ行進と沈黙し、重苦しいムードが漂っていた。

 それでも0対1の9回裏、先頭の野村勇が左前安打を放ち、反撃の狼煙を上げる。犠打で二進後、中村晃もファウル4球と粘り、加藤の8球目を左前安打。1死一、三塁とチャンスを広げた。

 そして、5番・山川穂高が加藤の初球・フォークをとらえ、左翼フェンス直撃の二塁打。三塁走者・野村に続いて、一塁走者・緒方理貢も一気に本塁を狙った。好中継でクロスプレーとなり、水口拓弥球審は「アウト!」をコールした。

 しかし、直後に小久保裕紀監督がリクエストを要求すると、リプレー検証で判定はセーフに覆る。ソフトバンクが2対1で劇的な逆転サヨナラ勝利を飾った。

 試合後、小久保監督は「アンパイアがセーフならセーフ」と語気を強め、「加藤がすごいピッチングだった。技巧派のお手本のような投球だったが、9回はよくつながった」と大きな1勝の喜びを噛みしめた。

 一方、勝利目前から一敗地にまみれた新庄剛志監督は「セーフかいっ! アウトに見えましたけどね。審判が言うなら仕方ない」と悔しさをにじませた。

勝負は下駄を履くまでわからない

 リプレー検証でも判定が覆らず、“リクエストサヨナラ”が幻と消える珍幕切れもあった。2021年5月4日の西武対オリックスである。

 両チーム計26安打が飛び出した二転三転の試合は、2点を追うオリックスが8回2死一塁、代打・ロメロの左越え2ランで追いつき、6対6で最終回を迎えた。

 そして、9回表1死満塁のピンチを一ゴロ併殺で逃れた西武はその裏、四球と若林楽人の左前安打などで2死二、三塁と一打サヨナラのチャンスをつくる。

 次打者・源田壮亮は、能見篤史の4球目、シュートを二塁ベース付近に緩く転がし、執念のヘッドスライディングで一塁に飛び込んだ。

 オリックスのセカンド・大城滉二も好送球を見せ、ちょっと見ただけではアウトかセーフかわからない微妙なタイミング。セーフなら西武のサヨナラ勝ちだったが、判定は間一髪アウトだった。

 直後、辻発彦監督がリクエストを試みるも、リプレー検証でも判定は変わらず、9回打ち切りで引き分けとなった。

 球団新の9投手を投入し、3時間58分の総力戦の末にドロー。骨折り損のくたびれ儲けのような結果に、辻監督は「いろいろあったけど、出し切りました。精一杯選手が頑張ってくれて、引き分けという形だけど、これが限界だからね」と疲れ切った表情だった。

 まさに「勝負は下駄を履くまでわからない」を地で行ったような、最後の土壇場でのどんでん返し。今後も、サヨナラゲームにかかわる重要なプレーの判定が、リクエストによって明暗を分けるシーンはあとを絶たないだろう。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘! 激突! 東都大学野球』(ビジネス社)

デイリー新潮編集部

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