「我が子を取り戻したい」…自宅出産した3人のうち2人を行政が保護 内縁夫婦の“親子愛”に香港が困惑した「Save Lily事件」の2週間
突然現れた第3子と緊急逮捕
夫妻が「Save Lily」で先に公開していた裁判文書には、リリーちゃんが保護された際の様子が記載されていた。
「パジャマ姿でひどく汚れ、歯は虫歯だらけ、体に重度の湿疹という内容は、養育能力がないと判断されても仕方がないものです。訴えを棄却された夫妻は香港に戻り、今年の5月27日、区議員に助けを求めたことを公表しました。ここから『Save Lily事件』が注目されるのですが、裁判文書の内容もあって物議を醸します」
この時点で出生届の未提出と放浪生活も明らかとなり、香港の世論は本格的に疑いの目を向け始める。が、5月28日、まったく別の“火種”が現れたのだ。
「夫婦が香港メディアのインタビューに連れてきた、推定生後2カ月のダニーくんです。その記事によると、夫妻は昨年に香港へ戻り、今年春ごろにダニーくんを自宅出産。香港で出生届を提出する際、当局に求められたDNA鑑定を“宗教上とプライバシーの理由”などで断ったため、現状では未提出の状態だそうです。他にも、自宅での自然分娩にこだわり、あらゆるワクチンを拒否するポリシーも明かしています」
「ダニーを救え」に一転である。
「その記事が公表された5月31日の時点で、巷には呆れムードが流れたのですが、6月2日に事態は急展開します。夫婦が児童虐待容疑で逮捕され、ダニーくんが保護されたのです。ついに夫婦はDNA鑑定に応じ、数日後に親子関係は証明されましたが、ダニーくんはまだ戻されていません」
「リリーを香港に帰らせるな」の声も
翌日の夕方に保釈された夫婦は、警察はDNA鑑定を熱心に勧めるなど「とても親切」だったことを明かした。
「事態の膠着を防ぐための“介入”だったようにも思えますね。香港当局はリリーちゃんの件でも動き、DNA鑑定の結果をフィンランドに送って親子関係を証明するそうです。が、『香港へ帰らせないで』と訴える声もある。海外移住が身近な土地だけに滞在資格やビザに敏感ですから、リリーちゃんの出生届を出さなかった理由は不法滞在ではという見方も根強い。これも“親としてどうなのか”という批判につながっています」
出産と育児を含め、夫妻はどのような考えで行動しているのか。
「自宅出産に関する法整備を求めるなど、これまでの発言からすると、医療による“治療”を拒否し、自然のままでいることを尊重しているようです。宗教的な信念によるものだそうですが、宗教名は明かされていません。子供に対する愛も語り、虐待の意図がないことは伝わるのですが、社会的な行動が伴っていないため巷は困惑しています。夫は理学療法士、妻は教師の資格を持っていると自称する割には2人そろって無職という点も引っかかる。巷では『親の資質』や『親の信念と子の関係』といった議論と並行して、『税金を払っていない元海外在住者にどこまで福祉サービスを提供するのか』という批判も上がっています」
10日、1週間ぶりにダニーちゃんと面会した夫婦は、リリーちゃんの件で香港当局が動き出したことについて「ダニーがいたことでむしろすべてが急に動き出した。(ダニーの)犠牲というよりは、逆に一種の、家族による協力だったといえる」と語っている。




