M!LKが「ポスト嵐」と呼ばれる理由 ヒット連発し人気急上昇 時代遅れの「王道」を行く5人組

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笑えるけど魅力的

 過度に作り込まれた格好良さは嘘っぽく感じられるが、完全にネタに振り切ってしまうと感情移入しづらい。M!LKの楽曲は見事にその中間を突いている。ふざけているようでキラキラしている。笑えるけど魅力的でもある。これが現代のアイドルポップソングとして理想的な形なのだ。

 かつてのジャニーズ的な王道のアイドルらしさとは、単にイケメンが歌って踊ることではなかった。重要なのは「手の届かなさ」と「親しみやすさ」の両立である。ステージ上ではまぶしい存在でありながら、バラエティでは少し抜けたところを見せる。ドラマでは二枚目を演じながら、トークではいじられる。ファンにとっては憧れの対象でありながら、同時に近所の明るい兄ちゃんのような距離感もある。

 M!LKが「ポスト嵐」と言われることがあるのも、この点と無関係ではない。嵐の強みも、圧倒的なカリスマ性というより、5人の関係性、親しみやすさ、バラエティ適性、清潔感、そして幅広い世代に受け入れられる柔らかさにあった。

 M!LKの強みは、時代遅れになったはずの「王道」を恥ずかしがらずに引き受けているところにある。クールに構えすぎず、斜に構えすぎず、過剰なアイドルらしさを過剰なまま差し出す。そこには、アイドルという存在が本来持っていた明るさ、祝祭性、少しバカバカしいほどの肯定感がある。だからこそ彼らは、限られた層の女性ファンに支持されているだけではなく、男性アイドル文化の次の中心候補として語られ始めているのだ。

 もちろん、現在のM!LKはまだ完成形ではない。本当の勝負はここからだ。だが、ビジュアル、楽曲、キャラクター、メディア適性、グループの関係性という複数の条件が、これほどバランス良く揃っている男性アイドルグループは多くはない。

 旧来の王道アイドルの記憶を持つ視聴者にも、新しい「推し」を求めている若い世代にも刺さる。M!LKの躍進は、男性アイドルの王道が終わったのではなく、時代に合わせて更新されながら、いま再び求められていることを示している。

ラリー遠田(らりー・とおだ)
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『松本人志とお笑いとテレビ』(中公新書ラクレ)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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