「富士山閉山期」に「登山者1万人」報道の衝撃 地元自治体が訴える「救助費用自己負担化」の是非

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禁止を訴えるしかない

――吉田ルートには5合目に巨大なバリケードが設けられているが、その脇をすり抜けて行く映像もある。ゲートを超えれば罰金など処罰の対象となるが、課された例はない。

「富士宮ルートにも6合目にゲートがあるのですが、それも越えられてしまっています」

――もっと強行に防ぐ手立てはないのだろうか。

「登山道は県道なのでゲートを設けるなどはできるのですが、中には登山道を通らない人もいます。そうなると、現状では禁止事項としてしか訴えられないという苦しさも……」

――環境省、静岡県、山梨県、そして地元市町村と観光事業者などで構成される「富士山における適正利用推進協議会」が策定した「富士登山における安全確保のためのガイドライン」には、閉山期の登山についてこうある。

《夏山期間以外の時期は、充分な技術・経験・知識としっかりとした装備・計画を持った者の登山は妨げるものではないが、(中略)万全な準備をしない登山者の登山(スキー・スノーボードによる滑走を含む)は禁止する》

 なんとも手緩いと感じる人もいるのではないか。今年1月に遭難した外国人は、登山計画を提出せずに富士山に入って遭難した。それでも現実的には、救助の有料化を進めるしか対策はないようだ。

「市が単独でできることにも限りがあります。有料化の件は、県に上申している段階です。そして県は、調査研究して国へということですので、なかなかすぐに実現というわけにはいかないようです」

錯覚で人気に?

 全国で初めて山岳救助の有料化を実現したのが埼玉県だ。2010年7月に埼玉と山梨の県境にある笠取山の滝壺に転落した女性を救助するため出動した県の防災ヘリが活動中に墜落、レスキュー隊員やパイロットなど5人が死亡した。これをきっかけに「埼玉県防災航空隊の緊急運航業務に関する条例」が成立し、18年から施行されている。県内の6つの山岳地域で県の防災ヘリが救助する際、燃料費に相当する5分あたり8000円を徴収するというものだ。1時間あたり9万6000円である。静岡県が目指すのもこういう形だろうか。

「どういう形になるのかはわかりませんが、富士宮市としては市長が申し上げているとおりとても困っているという状況です。それを打破するために近隣市町や県に呼びかけをしている段階です」

 それにしても、なぜ閉山期にもかかわらず富士山に登りたがる人がこうも多いのだろう。もちろん登山訓練を目的として万全な装備と技術を備えた登山者もいるが、ろくな装備もなく安易な気持ちで登ろうとする者も少なくない。

「日本一ということに加え、なだらかに見える見た目の錯覚もあるかもしれません。遠くからだけでなく近くに寄っても山頂まで見通せる時もありますから、簡単に登れるように思えるんですよね。実際、閉山後の9月中旬から雪が降ることもありますし、気温だって氷点下ですから……」

 遭難してから後悔しても遅いのだ。

デイリー新潮編集部

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