「通院でもいい高齢患者を入院させ…」 世界一の医療資源を持つ日本で「医療崩壊」が起きている理由 「医師にMRIのノルマを課す病院も」

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過剰医療

 眼前に迫る医療崩壊の背景には、日本医師会が放置してきた「過剰医療」「無駄な医療」という根深い問題が横たわっている。本来、パブリックであるべきものに市場原理を持ち込んだ構造上の欠陥。それを頭に入れれば、医療界の問題をクリアに理解できるはずだ。

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 医師で医療経済ジャーナリストの森田洋之氏が言う。

「今、日本が抱えている医療崩壊を招きかねない状況は、そもそも過剰医療が原因なので、それを是正し、無駄な医療費を削る必要があります。ですがこれは、日本医師会の利益と真っ向から対立することですから、医師会に根本的な解決を期待するのは無理なのです」

 では、過剰医療や無駄な医療はなぜ生じるのか。それを正しく把握するためには、日本の医療界の「構造」をつかんでおく必要がある。

「医師にMRIのノルマを課す病院も」

「日本はMRIもCTも、人口当たりの保有台数はダントツで世界一です」

 先の森田氏はそう話す。

「MRIはアメリカの2倍、イギリスの10倍持っています。また、病床数は、ここ数年は韓国に抜かれることもあるものの、基本的にずっと人口当たり世界1位です。アメリカの5倍、イギリスやデンマークの4倍の病床数を有しています。つまりハード面では、日本には世界一の病床・医療機器を備えた豊かな医療資源があるのです」(同)

 無論、医療体制が整っていること自体は悪いことではない。しかし、

「実はこのハード面の潤沢さが、医療崩壊を招く要因となっている側面があるのです」

 と、森田氏は指摘する。

「日本はこれだけの設備を有していながら、医師数は、先進国の平均より少ない状態です。日本の医療機関は病床を満床にしないと経営が成り立たないので、元々多い病床を埋めようと満床を目指します。病床数はアメリカの5倍あるわけですから、単純計算で医師数も5倍でなければ手が回りません。しかし実際の医師の数は先進国の平均以下なので、医師は5倍忙しくなるのです」(同)

 病床だけではなく、MRIなどの医療機器に関しても同様のことがいえる。

「MRIは1台1億円から3億円くらいします。病院としては、当然ながらこの購入費用を回収するつもりで買っています。MRIは10割負担で1件数万円の高額な検査です。病院は機会があれば撮ろうとし、医師に1人10件、20件といったノルマを課しているところも珍しくありません」(同)

 MRIは撮って終わりではない。画像の読み込みや患者への説明など、付随する業務も全て医師がやらなければならない。

「MRIだけを見ても、こうした業務がイギリスの10倍発生していることになるのです。近年、医師、特に勤務医の過重労働が問題になっていますが、イギリスの10倍のMRI、アメリカの5倍の病床を保有する日本では、過重労働になるのは当然で、医師が朝から夜遅くまで働かないと病院が回らない構造があります。そもそもの仕事量が多過ぎるのです」(同)

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