「SNSが未成年の脳の発達に影響」米研究者が明かす、驚くべき「子どものSNS依存問題」の本質

国内 社会

  • ブックマーク

若者の「未完成な脳のブレーキ機能」につけ込む技術

 シェイ氏は、未成年へのSNS規制を読み解く上で重要な論点は「脳科学」にあると説く。脳は20代半ばまで発達を続けることが明らかになっていて、未成年の脳はまだその途中にあるというのだ。

「脳には短期的な満足を追求する報酬中枢を司る部分と、これを抑制する前頭前皮質とがある。両者の関係は車のアクセルとブレーキに似ている。脳は常に報酬と満足を求めるべくアクセルを踏もうとするが、この誘惑に抵抗するブレーキも社会生活を営む上で重要だ。だが、ブレーキは20代まで発達を続けることが分かっており、未成年では完成しない。『いいね』や『通知』など短期的な満足を誘発するSNSの仕掛けは、ユーザーの脳にアクセルを踏んでもらうことを狙っている。未成年ほどSNSに依存しやすい、ということだ」

 SNS企業は未成年の脳の脆弱性を利用して、SNSの各種機能を開発していたのだろうか。シェイ氏は、「SNS企業は人間の脳の仕組みを専門的に学んだ心理学者を雇っていたことは事実であるものの、未成年を狙って依存させたかどうかまでは言い切れない」と言う。一方、数々の内部告発や社内文書を読む限り、「未成年にとって有害な可能性がある」という自覚自体は示唆される、とも付け加える。

「ヒトという種は進化の過程で認知的脆弱性を持つようになった。そのうちのひとつが、『他人がとにかく気になる』というもの。ヒトは徹頭徹尾社会的な生き物で、共同体の中で長年生きてきた。自分の価値観・信念よりも他人や“世間”を優先するのがデフォルトだといえよう。SNSはこの傾向を強化し、『他人によく見られたい』という原始的本能を強く刺激する」

 続けて、

「ヒトは『楽をしたい』という欲求も強く持つ。意識的な熟慮の結果の行動よりも、受動的で衝動的な行動に出やすいということだ。これを利用するのが、SNSの『無限スクロール』と『自動再生』。ユーザーが何もしなくても、好みの投稿・動画が延々と流れてくる」(シェイ氏)

 そしてシェイ氏は、「このシステムは驚くほどに社会に浸透している」「単純なSNS規制では解決にならない」と力説するのだ――。

湯浅大輝(ゆあさ だいき)
フリージャーナリスト。同志社大学在学中に米アリゾナ州立大学へ交換留学。卒業後、記者としてのキャリアを開始し、経済メディア、小売専門誌を経て独立。教育、小売、海外スタートアップ、国際情勢、インフラなど多様なテーマを取材・執筆している。過去携わった書籍に『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社)、主な特集記事に「出生数75.8万人の衝撃」「奈良のシカ」(ともにJBpress)、「リニア 20世紀最後の巨大プロジェクト」(NewsPicks)、「精肉MDの新常識」(ダイヤモンド・チェーンストア誌)など。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。