巨人「阿部監督」電撃辞任の衝撃…シーズン途中でも“休養”を突きつけられる「監督」という孤独な職業 「いまは選手どころかコーチを食事に誘うことも難しい」

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指導そのものが変わった

 そして時代は「令和」へ。

 監督に限った話ではありませんが、今の指導者は選手にきつい言葉を掛けることができないそうです。去年までドラゴンズで打撃コーチを務めた森野将彦氏(47)に聞いた話です。

「今の若い選手には、ああしろ、こうしろと言ってはダメ。腫れ物に触るように、こうしたほうがいいと思う、といった言い方しかできない」

 バリバリの昭和人である私からすると、それで指導ができるのかと疑問を持ちました。以前、私と一緒に番組をやっていた女性タレントが大学の就職講座に面接対策で招かれた際、自己紹介でやたら語尾を伸ばす学生に「バカっぽく聞こえるからやめましょう」とアドバイスした瞬間、教室の空気が凍り付いたそうです。講師として呼んでくれた教授から「学生を否定する発言は絶対にやめて」と終了後に言われたと聞いて、「そんな時代になったか」と思い知らされました。

 このような状況で、今のプロ野球の監督とはどのような苦悩を抱えているのでしょうか。たまたまDAZNで実況した5月26日の中日―楽天戦で、楽天で監督を務めた今江敏晃氏(42)に解説を務めていただいたのですが、「監督というのはカメラに抜かれることが多いので表情一つとっても難しいです。特にチーム状況が悪いと無表情でいるつもりでも、難しい顔をしているとか、渋い表情をしていると言われてしまう」と話してくれました。

 とりわけ気の毒に感じるのは、うかつに選手とコミュニケーションが取れないということです。私は、個人的に食事や飲み会の席を持つことで相手との関係が深まるという文化で育ってきましたが、今の選手と個別にそうした席を持つと「贔屓している」とか「好き嫌いで動いている」と言われるので、“選手との接触はグラウンド限定”という暗黙のルールが今は存在します。

 プロの世界は、繰り返しになりますが結果がすべての世界です。全員を同列で括れるわけがありません。個々人が持つ能力、特性を伸ばすのが指導者の仕事であるはずです。にもかかわらず選手側にそれを受け入れる素地がなければ伸びるものも伸びないのではないかと私は思ってしまいます。

 さらに、個別にコーチと一席設けることも同じ理由で難しいと聞きます。

 もちろん昭和時代の星野さんがやっていたような指導が今の時代では否定されることは言うまでもないことですが、監督室で孤独に過ごす今の「監督」とは以前にも増してその「孤独感」が強くなっているのではないでしょうか。

 裏方さんの伴侶にも誕生日の花を贈るなど、人心掌握にたけていた星野さん。今、星野さんが存命なら「令和」時代の監督にどんな思いを抱くでしょうか。

村上和宏(むらかみ・かずひろ)
フリーアナウンサー。1967年、広島県出身。専修大学法学部卒業後、91年に東海ラジオ放送入社。制作局アナウンサーとして、主にスポーツ実況を担当。2025年の退社まで、プロ野球をメインに多くの番組制作に携わった。

デイリー新潮編集部

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