ガソリン不足に「日本だけ何も対応していない」 塗装工事業の会社を畳んだ男性が明かす「苦し過ぎるリアル」

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「供給と製品不足は別問題」

 ちまたのナフサ不足は、「小麦」そのものではなく「うどん」や「パン」などの製品が足りていない状況だと、小嶌氏は指摘する。

「高市さんをはじめ政府が“ナフサは確保されている”と言うのは認識不足で、目指すべきはナフサ由来の製品を欲しい人が買えるようにすることです。しかも品薄の医療用手袋など多くの製品は国産ではありません。100円均一ショップで売られるプラスチック製品なども大半は海外で生産されていて、日本同様ナフサ不足は深刻です。いくら政府がナフサを国内で確保したとしても、消費者には製品が届かないという構図に気付くべき。ナフサの供給と製品不足は、別問題なのです」(小嶌氏)

日本は何も対策していない

 こうした原油危機への高市政権のちぐはぐな姿勢に疑問を呈するのは、エネルギー問題に詳しい常葉大学名誉教授の山本隆三氏だ。

「不思議なのは、アメリカなどの産油国を除いて、世界主要国の大半が国民向けにガソリンなどの節約を呼びかけている中で、日本が何も対策していないことです。欧州やアジアで資源を自給できない国々は、車通勤を減らすため在宅勤務を推奨、大学の講義などをオンラインにする国もあります。高市政権は経済活動への影響がないように、まだまだ石油備蓄もあると言っていますが、現状の使用量を考えて節約を要請する方向にかじを切らないと、ホルムズ海峡の閉鎖が長引けば長引くほど大変なことになっていくと思います」

 7月中旬に会期末を迎える国会で、高市政権は今年度補正予算を編成する方針を決めた。ガソリンのみならず、高騰する電気・ガス料金への補助金に充てられるが、ナフサ危機への支援は盛り込まれない見通しだという。

「高市政権のエネルギー政策は一種の“賭け”」

 政治ジャーナリストの青山和弘氏によれば、

「とにかく高市さんは経済活動にブレーキをかけたくない。食料品の消費税減税にしても、減税幅を上回る物価高な上、財源も厳しいという声は強いのにこだわっています。仮にエネルギーの節約を呼びかけるなら、補正予算に盛り込む補助金のあり方も変更しなければいけない。これまでの政策の大転換はできるだけ避けたい。そんな高市さんの強情さを感じます。官邸周辺を取材してもいまだに節約を呼びかける話は出てきません」

 青山氏はこうも言う。

「高市さんが粘れば粘るほど、いざ節約に転じた際に飛び降りる崖は高くなる。それだけに、高市政権のエネルギー政策は一種の“賭け”だといえます。このまま経済にブレーキを踏まずにホルムズ海峡が開放されたら、結果オーライ。一方、イラン情勢が収束せずに時間がたてば、備蓄した石油は減っていく。結局節約を呼びかけないといけない状況にまで追い込まれた時、もっと早く対応していればよかったのにと批判されるのは必至です」

 折しも補正予算編成を受けて、市場では赤字国債への懸念などから長期金利が上昇、円安が加速している。

 日本経済の状況が深刻さを増しても、お得意の高市スマイルを見せるだけでは、笑い話で済まなくなるのだ。

 前編では、倒産件数が急増する中でも「特に厳しい」という3業種について解説している。

週刊新潮 2026年5月28日号掲載

特集「スマイル高市首相が目を背ける日本経済の“危機”」より

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