「戦国東都」を席巻した“予想外の本塁打王” 立正大・高田庵冬と国学院大・石野蓮授、恩師が語る急成長の理由

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必死にバットを振れ

 そんな高田の単独本塁打王にストップをかけた存在がいる。国学院大の石野だ。

 昨年までの4シーズンでは通算1本塁打と実績は乏しかったが、この春は開幕から4番に抜擢された。最初の2試合は無安打に終わるなど、なかなか快音は聞かれなかったものの、シーズン終盤には復調する。

 勝ち点をとれば優勝が決まる大一番となった青山学院大とのカードでは、第1戦で大学ナンバーワン投手の呼び声高い鈴木泰成(4年・東海大菅生)から先制の本塁打を放った。翌日の第2戦でも、試合を決定づける今季5本目の満塁弾をレフトスタンド中段に叩き込み、チームの優勝にも大きく貢献した。

 石野の強みは、速いストレートへの対応だ。青山学院大戦での2本の本塁打も、いずれも150キロ近い速球を完璧にとらえたものだった。

 一方で、能力の高さがありながら、昨年までレギュラーに定着できなかった理由もある。高校時代に石野を指導した、報徳学園の大角健二監督はこう話す。

「高校時代も下級生の頃から良いものは持っていました。こちらとしても早くから公式戦で使いたかったのですが、上級生がいる間はなかなか自分の力を発揮しきれず、どうしてもおとなしいところがありましたね。この春も4番で使ってもらっていながら、中継の映像を見ると全然自分のスイングができていなくて、内容も良くなかった。思わず本人にも電話をして、『このチャンスを逃すな。必死にバットを振れ』という話もしました。その後に代打で一本ホームランが出て、そこからはだいぶ楽になったと思います。ただ、変化球には弱いですし、持っている能力を考えればまだまだこんなものではありません。これをきっかけにして、さらにレベルアップしてもらいたいです」

 国学院大はこの春、リーグ新記録となるチーム21本塁打を放った。その中でも、石野の長打力は頭一つ抜けている印象だった。6月には全日本大学野球選手権も控えており、そこでの打撃にも注目したい。

 NPBを見ても投高打低の傾向が続いており、本塁打が期待できる強打者の需要は年々高まっている。大学野球最高峰のリーグでその片鱗を見せた2人のスラッガー候補が、今後どこまで飛躍するのか。秋以降の戦いも楽しみである。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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