佐藤優を“国策捜査”した「元担当検事」が本人と直接対決! 初めて明かされた“本音”とは
2002年、いわゆる「鈴木宗男事件」に絡み、背任と偽計業務妨害の容疑で東京地検特捜部に逮捕された作家で元外交官の佐藤優氏。その取り調べを担当したのは、当時特捜部検事だった弁護士の西村尚芳氏だ。西村氏は取り調べの中で「これは『国策捜査』なんだから。あなたが捕まった理由は簡単。あなたと鈴木宗男をつなげる事件を作るため」と語り、それを佐藤氏が係争中に出版した『国家の罠』で暴露し、「国策捜査」という言葉は一躍世間に浸透した。
かつて取調室で鋭く対峙した2人が20年以上の時を経て再会し、事件の内幕を振り返った対談集『特捜取調室――国家の罠 20年目の再対決』が刊行されるのを機に、改めて事件について振り返ってもらった。
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かつての被疑者と取り調べ検察官が語り合う理由
佐藤 西村さんと再会したきっかけは、私の病気だと思います。腎臓移植手術の検査で前立腺がんが見つかり、前立腺全摘になるという話を琉球新報のコラムに書いたところ、それがヤフーニュースに転載されたんです。状況によっては余命2、3年ということもあったんですが、それを見たから西村さんが、ある役所の幹部を通じて「西村さんが会いたがっていますよ」と連絡をくれた。
私としても、もう二度と会うことはないと思っていましたが、以前から気になっていたんです。『国家の罠』を出したあと、検察の中で西村さんがどういう処遇になるか、人事をずっと見ていました。最高検の検事に栄転したものの、役所では「祭り上げ人事」というのがあるんですよ。一回いい人事にして、あとで外すというやり方。
西村 佐藤さんに会おうと思った一番の理由は、佐藤さんが被疑者でも被告人でもなくなったこと、そして私も検察を退官したことです。まさにフラットな立場になった。でも一番は、印象深い被疑者だったことですよね。長く検察の仕事をしてきましたが、佐藤さんとのやり取りは面白かった。黒子のはずの検事が『国家の罠』で色々書かれてしまって、一言文句も言いたかったというのもありましたね(笑)。
佐藤 お互い一度きりの再会のつもりだったと思うんですが、それが何度も会うことになって、対談集まで出すことになったわけですが、対話が続いたのは、初回のお金の払い方だったんだろうな。初回は私が払ったものだから、西村さんは「おごられっぱなしは嫌だ」という形で次を奢ってくれて、「じゃあ次もやりましょう」と。もう一つ、間に入ってくれた人物が二人とも非常に信頼している方だったことも大きかったですね。
逮捕の日の記憶 取調室で何が起きていたのか
佐藤 逮捕の日のことで、どんな印象が残っていますか?「難しいお客さん」だったとおっしゃっていますけれど。
西村 いやもう、本当に難しいお客さんでしたよ、本当に。まず、逮捕前の任意の段階で外務省を通じて来てくださいと伝えたら、「やだ」と言われました。逮捕状を持って行けば、さすがに地検くらいまではついてきてくれるかなと思ったら、それも「やだ」と。「ここでやれ」と言うわけです。
佐藤 当時私が所属していた外交資料館でのことですよね。
西村 そう。館長がすごい怖い顔で睨んでいて、「ここで逮捕なんて絶対許さない」という雰囲気でしたよ。結局、会議室を借りて、逮捕手続きを行いました。
佐藤 だってこっちは真面目に仕事をしていて、それで逮捕されるというんだから、自分の机で捕まらないとね。西村さんに「メディアの人がこれだけ外で待っているから、外で手錠をかけたほうがいいんじゃないですか」とも言ったかな。
西村 まったくもう(笑)。
佐藤 思い出すのは2002年5月18日、逮捕から4日目のことだと思うんですが、取調室に行ったら夕方なのに電気が全然ついていない。ノートパソコンが開いていて、その明かりの中に西村さんの顔が浮かび上がっている。いきなり私の出勤票を出して「おい、出張許可を得ないで出張しただろう、こんなことやっていいと思うのか」と言うんです。かなり強圧的、威圧的なやり方でした。週末に入る前に「落とそう」としているなと感じて、取り調べ拒否に移行しようかと思いましたよ。
西村 それはちょっと印象が強すぎるんだけど、少し強めの対応を取ることは時々あります。相手がどういう出方をするか見ながら話を進めますので、いろんなアクションを試してみるんですね。でもそういう強圧的なアクションには一切引かない人だなということがすぐにわかりましたよ。
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この対談の続きは、「新潮QUE」(キュー)の動画で視聴できる。検察のあるべき姿や、ビジネスパーソンが組織の中で生き残る方法などが語られる。


