「俺は“1,000円カット”、なのに妻の美容代は月10万かよ」――妊娠を機に発覚した共働き夫婦の“ブラックボックス”家計【FPが助言】
「妊娠がわかるまで、妻がファッションや美容に月10万円も使っていることを、まったく知りませんでした」
都内在住の会社員・航平さん(34歳、仮名=以下同)は、そう苦笑いする。妻(33歳)は企業の役員秘書。夫婦合わせた世帯年収は約1,100万円で、23区内で家賃17万円のマンションに暮らす、いわゆる「パワーカップル」に近い夫婦だ。結婚以来、「お互い働いているから」と、それぞれの財布に干渉しない生活を続けてきた。しかし、その「自由」がもたらした家計の危機が、妊娠を機に発覚したのだ。あまりに異なる価値観をどうすり合わせたらいいのか。金融教育家の上原千華子さんに聞いた。
【写真を見る】では「一般的な美容代の目安」はいくら!?“手取り25万円ほど”の妻が使える金額、年代別男女の平均額も
「共通口座に入れたら、あとは自由」の落とし穴
航平さん夫婦の家計ルールはシンプルだった。お互い手取りの半分を家計用の共有口座に入れ、家賃・光熱費・食費などの生活費を賄う。残りは各自が自由に使う。若い世代の共働き夫婦に多いこのスタイルは、独身感覚のまま自由にお金を使える反面、一つの問題を抱えている。相手の財布が完全に「ブラックボックス」になる、という点だ。
妻の妊娠が判明したことで、航平さんは「教育費のことも考えなきゃいけないし、一度お互いの収支を見せ合おう」と提案した。
航平さん自身の支出は手堅い。在宅勤務のSEということもあり、衣服はGUなどのファストファッション、散髪はいわゆる“1,000円カット”ですませている。趣味の出費もオンラインゲームで月数万円を課金する程度。着実に貯蓄、そして投資を積み上げていた。
そんな航平さんにとって、妻の支出の明細は驚きの内容だった。
表参道の高級サロンでカラーリングとカット、縮毛矯正で月3万5,000円。コンタクトが月3500円、ネイル月1万円、エステ、外資系ブランドの化粧品に、季節ごとのファッション……。最近はジム通いも加わった。
合計すると、共有口座に入れるお金を差し引いた「自由に使えるお金」約13万円のうち、大半を占める“月10万円ほど”が美容と服飾だけに消えている。当然ながら、貯蓄も投資もほとんどできていなかった。
「無駄遣いしすぎでは」と絶句する航平さんに、「これは必要経費だから」と妻は主張した。
「役員秘書という仕事柄、身だしなみを整えるのは当然のマナー。見た目のクオリティを落としたら、仕事に響くよ」
妻にとっては、キャリアを守るための正当な投資で、「浪費」という言葉で片付けられる筋合いはないというわけだ。だが航平さんにとっては、子どもが生まれる前にこれだけの額が「消えていく」という現実がただただ恐ろしかった。「これから教育費もかかるし、老後も心配だ。見た目なんか気にせず、生活費以外のお金の半分は貯蓄に回してほしい」と妻を説得した。
しかし、「きれいでいることも仕事のうち。私の仕事がどうなってもいいわけ?」と妻の態度はかたくなになるばかり。「いったいどうすればいいのか……」。航平さんは頭を抱えている。
次ページ:【FPのアドバイス】価値観は変えなくていい。「仕組み」を変える
[1/2ページ]


