主砲を失っても「勝てるチーム」「沈むチーム」 村上宗隆、岡本和真流出で問われる“再建力”

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主砲流出は終わりか始まりか

 開幕から9試合は高橋由伸が4番を打ったが、本塁打ゼロで3番に打順変更となった。その後は清原、ペタジーニが交替で4番を務めたものの、ともに故障離脱。打線は最後までつながりを欠いた。

 リーグトップの205本塁打を記録しながら、一度もV争いに加わることなく、阪神に15.5ゲーム差の3位でシーズンを終了。前年チームを日本一に導いた原辰徳監督が、就任わずか2年で退任する事態となった。

 2023年のオリックスでは、主砲流出をきっかけに意外な選手が台頭した。新4番に定着したのは、前年まで控え捕手の立場だった頓宮裕真である。

 前年、チームの三冠王としてV2に貢献した吉田正尚が、ポスティングでレッドソックスに移籍。吉田の穴を埋めるために西武の3番打者だった森友哉をFAで獲得したが、山本由伸、宮城大弥らの投手陣を強力援護し、V3のキーマンとなったのは頓宮だった。

 捕手の森が加入し、若月健矢、日本ハムから移籍した石川亮との捕手3人体制からはみ出る形になった頓宮は、前年自己最多の11本塁打を記録した打力を生かして一塁、DHに回った。

 前年まで、試合での感覚がしっくりこないときに吉田から打撃練習での心構えなどをアドバイスしてもらっていた頓宮は、今度は野球に真面目に取り組む森の姿勢を参考にした。結果に左右されず、気持ちを切り替える大切さを学んだという。

 2023年は5月3日の西武戦から森の後の4番を打ち、「常に自分のスイングをする」をモットーに、プロ5年目で初めて規定打席に到達。打率.307、16本塁打で首位打者になった。

 主砲の流出は、チームにとって大きな痛手である。ただ、それは同時に、眠っていた選手が表舞台に出るきっかけにもなる。オマリー、マルティネス、頓宮のように、開幕前の想定を超える選手が現れれば、チームの形は大きく変わる。

 一方で、2003年の巨人のように、本塁打数だけでは埋められない穴もある。4番打者が担っていたのは、単なる数字だけではないからだ。

 村上を失ったヤクルトと、岡本を失った巨人。両チームの現在地は、その難しさと面白さを改めて示している。主砲流出を「終わり」にするのか、新たなチームづくりの始まりに変えられるのか。シーズンが進むにつれ、その答えはより鮮明になっていく。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘! 激突! 東都大学野球』(ビジネス社)

デイリー新潮編集部

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