総裁選の宣伝費で高市陣営は石破陣営の200倍! とてつもない格差を石破前総理はどう考えていたのか

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 前回の自民党総裁選と総選挙において高市早苗首相の事務所が対立候補らの中傷動画を外部に依頼し、拡散していたのではないか――当初、週刊文春が報じたこの疑惑を19日には朝日新聞も報じたことで、関心が高まっている。

 少なくとも高市氏の事務所側とやり取りをしていたことを動画の作成者側は認めているようなのだが、高市首相自身は関与を一貫して否定している。もっとも、高市首相の説明は微妙だ。

「他候補を誹謗中傷するですとか、そういったことについて私どもの事務所から発信をしたり動画を作成したりということは一切ございません」

この説明にはどこか曖昧さが残るとの見方がある。これまで指摘されているのは、外部に発注したという点であって、誰も事務所が主体的に発信した、動画を作成したとは言っていない。指摘されていないポイントをわざわざ否定しているあたりは、論点を逸らしていると言われても仕方がないのかもしれない。

 この件が明るみに出る前にも、高市氏がPR戦略にかなりの重点を置いていたことは知られていた。石破茂前首相との決戦投票になった2024年の総裁選で、石破氏と高市氏との予算はケタ違いだった。石破氏が40万円程度だったのに対して高市氏は8000万円というから200倍近い金をつぎ込んだことになる。

 これについて石破氏はどう考えていたのか。聞いてみると意外な答えが――。
(※新潮社の情報・教養サブスク、新潮QUEの【石破茂、1年間の回顧録――5回目の総裁選、奇策とされた総選挙、そして「熟議の国会」に至るまで】の一部を抜粋・再編集しました)。

――総裁選に関して昨年、毎日新聞が面白い記事を出していました(2025年11月29日付)。政治資金収支報告書によれば、2024年総裁選で高市陣営は宣伝費に8000万円、小泉陣営が2000万円使ったのに対して、石破陣営は、総裁選用リーフレット作成代39万円、総裁選広報バナーSNS用作成費3万円程度だった、と。

 合計しても石破さんは42万円という度肝を抜く少額になっているのですが、本当なんでしょうか。そんなにお金をかけないものなのでしょうか。

石破:かけなかったんだね。たしか高市さんはあの時、リーフレットを相当多くの党員に郵送して問題になったと思うんだけど、うちはそういうことをしなかったですし。必要最小限のお金しか使わなかったんでしょう。

――それにしても42万円って……

石破:42万円かどうかも私は知らないけどね。

――それは過去4回(の総裁選)も同じなのでしょうか。別の総裁選の時に、他陣営と比べて使うお金がケタ違いに少ないと聞いた記憶があります。

石破:最初の方は特に、本当に手持ちがなかったからね。それでスタートしているから、たくさん使う発想がスタッフにもないんだろうね。

昨今主流となったPR会社への外注

――例えばSNS対策など、今流行りのアイディアは陣営から出なかったんですか。

石破:いや、SNSはけっこうやったと思うよ。

――それは自前でやっていたやつですよね。コンサルタントやPR会社に外注するというのが主流なんじゃないでしょうか。少なくともそういう売り込みもなかったのですか。

石破:わたしは知らないけど、売り込みがあっても採用しなかったんじゃないかな。

――それはなぜですかね。

石破:自分たちでやろう、手弁当で、という方針は徹底していたんじゃないでしょうか。小回りの利くチームで、というようなことはスタッフに言われたような気がします。

――こういうSNS対策にお金をかけていない面での不利益みたいなものは感じなかったんですか。

石破:あんまり感じなかったですけどね。

 結局、この総裁選では石破氏が勝利。大金を費やした高市陣営が、捲土重来をはかりどのように宣伝に向き合ったのか。この点が目下、注目されているということになる。

〈新潮QUE【石破茂、1年間の回顧録】第1回では、1万5000字にわたり、石破氏に2024年総裁選直前から、同年の総選挙直後までを振り返ってもらっている〉

石破茂
1957(昭和32)年生まれ、鳥取県出身。慶應義塾大学法学部卒。1986年衆議院議員に初当選。防衛大臣、農林水産大臣、地方創生・国家戦略特別区域担当大臣などを歴任。2024年、第102代内閣総理大臣就任。著書に『国防』『日本列島創生論』など。

デイリー新潮編集部

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