「史上最も腐敗した大統領」 証券取引が多すぎる「トランプ氏」に厳しい声…中間選挙に勝利なら米政治の分断が臨界点を超える

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厳しさを増す米国民の懐事情

 インフレが加速する状況下、米連邦議会上院は13日、次期連邦準備理事会(FRB)議長にウォーシュ元理事を充てる人事を承認した。議長の任期は4年、6月16~17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に初めて議長として参加する。

 ウォーシュ氏を指名したトランプ氏は早期の利下げを求めており、就任早々から厳しいかじ取りを迫られることになるだろう。

 米国民の懐事情も厳しさを増している。米ニューヨーク連銀の調査で、学生ローンの延滞率上昇が判明した。今年第1四半期は90日以上の延滞率が10.3%となり、昨年第4四半期から0.7ポイント上昇した。デフォルトした借り手の平均年齢は38.9歳、50歳以上の借り手の比率はコロナ前より高まった。

 学生ローンで最近デフォルトに陥った人は他の債務でも延滞率が高い。住宅ローンの延滞率は2割、自動車ローンは4割、クレジットカードは6割弱だ。

共和党内での影響力は健在だが

 11月の中間選挙で共和党が苦戦する材料は増えるばかりだが、トランプ氏の共和党内での影響力はいまだに健在のようだ。

 16日に投開票された米南部ルイジアナ州の共和党予備選では、トランプ氏が支持した候補が、3期目を目指していた対立候補のカシディ上院議員を破った。トランプ氏は5年前に自身の弾劾に賛成票を投じたカシディ氏に報復することに成功した形だ。

 共和党が下院でも多数を確保する可能性も出ている。

 中間選挙では下院の全議員(定員435)と上院の約3分の1が改選対象となる。選挙に先立ち、共和・民主両党は自党に有利になるような選挙区割り「ゲリマンダー」を実施するが、その最中の4月29日、米連邦最高裁は注目の判決を下した。選挙区割りを決定する際、人種的マイノリティーの権利保護を目的に人種を考慮することは違憲とするものだ。

 米国では民主党が長年にわたって黒人らの人種マイノリティーが多数を占める選挙区を意図的に設けてきたが、今後は難しくなる。

政治的暴力を是認する米国民は3割

 特に南部には、民主党を支持する傾向が強い黒人で多数を占める選挙区が作られている。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は昨年末、人種を考慮しないで区割りを見直した場合、共和党が同地区で最大12議席を奪還するとの試算を発表した。

 NYTの試算が正しければ、共和党は次の中間選挙で下院過半数を維持する可能性が一気に高まる。3度目の弾劾訴追を恐れるトランプ氏にとっては朗報だが、民主党は憤懣(ふんまん)やるかたないだろう。

 中間選挙での勝利を確信したトランプ氏がさらなる傍若無人ぶりを発揮すれば、米国政治の分断は臨界点を超えてしまうのではないかとの不安が頭をよぎる。

 気がかりなのは、各種世論調査で、政治的暴力を是認する米国民の比率が3割に上っていることだ。歴代大統領45人のうち4人が暗殺された米国でも、2年で3回も暗殺未遂にあった人物はトランプ氏しかいない。悩める超大国の今後の動向について、引き続き高い関心を持って注視すべきだ。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。2026年3月末日で経産省を退職。

デイリー新潮編集部

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