消滅危機の「リブゴルフ」 最大の敗因は「グレッグ・ノーマン」か…因縁のPGAツアーに切るべきだった“仁義”

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リブゴルフの失敗の根源はやはり

 世界ランキングの対象ツアーとしてOWGR(オフィシャル・ワールド・ゴルフ・ランキング)からの承認を得る上でも、型破りな3日間54ホールであることは最大の難点と見なされ、こちらも難航をきわめた。

 もっとも、世界ランキングの承認がこれほど遅れた背景には、OWGRの意思決定を行うメンバーにPGAツアーやDPワールドツアーのトップが含まれていることも大きく影響したと見られていた。放映権契約に関しても、既存のツアーから裏切り者のように見られることを避けたとも言われていた。

 そうだとすれば、やっぱりリブゴルフの失敗の根源は「仁義を切らなかったこと」になる。

 最終的には、リブゴルフが今季から競技形式を4日間72ホールに変更したため、今年2月にようやく世界ランキングのポイント付与が認められた。しかし、周囲からは「リブゴルフがアイデンティティを捨てた」などとも言われ、むしろ評価が下がった感もあった。

リブゴルフの功績

 それでは、リブゴルフが個人戦と同時並行でチーム戦を行い、各チームをフランチャイズ化したことは、どう見られているのか。

 PGAツアーには、2人1組のチーム戦で競うチューリッヒ・クラシック・オブ・ニューオーリンズという大会がある。だが、3人あるいは4人のチームで競い合う大会は、現状では1つもない。

 しかし、3~4人のチームを結成し、年間数試合に臨むチーム戦がなかなか楽しいものであることは、リブゴルフがある意味でお手本となった。そのおかげで、リアルゴルフとバーチャルゴルフの融合であるTGLが同様の形式を採用したと言われている。

 そう考えると、リブゴルフがチーム戦を採用したことは失敗ではなく、斬新なグッドアイデアだったと言えそうである。各チームをフランチャイズ化したことも、ゴルフ界初の新しいビジネス形態であり、リブゴルフ選手のイアン・ポールターの言葉を借りれば「10チームは黒字化している」そうである。

 しかし、それらのチームは“リブゴルフあっての”チームであり、“リブゴルフあっての”ニュー・ビジネスだ。母体のリブゴルフが消滅してしまったら、その中で「営業」している各チームも、おそらくは同じ運命を辿ることになる。

「新たなツアー」は現れるのか?

 リブゴルフが傾きかけた今、彼らの失敗は明らかに多々見て取れるのだが、既存のゴルフ界はリブゴルフの一連の経緯から何かを学び取り、今後の糧にしたいところである。

 リブゴルフの衰退ぶりを見るにつけ、PGAツアーを頂点とするゴルフ界のピラミッドが、いかに頑強でパワフルであるかを最終的に見せつけられた感がある。

 一方で、「ゴルフ界には今後、新しいツアーは決して出現しないのか。新たなツアーは成り立たないのか」という疑問も湧いてくるのだが、新規ツアーをすべて締め出すようでは、ゴルフ界に今以上の広がりはない。

 TGLがPGAツアーの肝煎りでキックオフしたことは、ゴルフの裾野を広げることにつながりそうである。ブライソン・デシャンボーはリブゴルフが消滅したら自身のYouTubeでゴルフリーグを盛り上げていくと宣言している。

 ゴルフ界は、「リブゴルフ対策」に四苦八苦してきたこの5年間を無駄にすることなく、今後は「新たなツアー」が登場しても、いたずらに敵対するのではなく、ともに向上を目指す協調路線を歩んでほしい。

 どちらの側にも、大きな「失敗」をおかしてほしくない。

舩越園子(ふなこし・そのこ)
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。1993年に渡米し、在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『才能は有限努力は無限 松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。1995年以来のタイガー・ウッズ取材の集大成となる最新刊『TIGER WORDS タイガー・ウッズ 復活の言霊』(徳間書店)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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