本塁打を残して延長へ、雨でノーゲーム寸前も…サイクル安打を達成した男たちの“奇跡”
僕みたいな足の遅い選手が三塁打とはね
NPB史上唯一3度にわたってサイクルを達成したのが、横浜のロバート・ローズだ。しかも、1、2度目は三塁打、3度目は本塁打で達成するという、いずれも超難関の条件をクリアしての快挙だった。
1995年5月2日の中日戦、ローズは1回1死一、二塁で、センター上空に高々と飛球を打ち上げた。中堅手が目測を誤って捕球に失敗し、この幸運な安打が快挙の呼び水となる。3、5回に連続二塁打を記録したあと、7回に左越えソロを放ち、最後に最難関の三塁打が残った。
だが、この日のローズは強運だった。8回2死三塁の5打席目、打球は左翼フェンス直撃の“二塁打コース”。ところが、左翼手がフェンスに激突して転倒した結果、“棚ぼた”三塁打になった。史上46人目(48度目)のサイクル達成に、本人も「まさか僕みたいな足の遅い選手が三塁打とはね」と目を丸くしていた。
2度目は97年4月29日のヤクルト戦。1打席目から本塁打、二塁打、安打、安打を記録し、またしても三塁打が最後の難関となった。8回の5打席目、ローズはあわや本塁打という打球が中堅フェンスの最上部を直撃し、名手・飯田哲也がクッション処理を誤る間にヘッドスライディングで三塁へ。「最後に三塁打が打てる確率は100万分の1くらいだろう」と満面に笑みをたたえた。
3度目は1999年6月30日の広島戦、2回に二塁打を放ったローズは、横浜打線が5回に一挙12得点の猛攻を見せるなか、この回に安打と三塁打を記録してリーチをかける。そして、6回無死一、三塁、小林幹英からダメ押しの右中間3ランを放ち、史上初の3度目のサイクル安打を達成した。
「ホームランが出るとサイクルというのはわかっていたよ。でも、自分のスイングをしようと心掛けて、打席に入った。素晴らしいチームメイトに助けられて、記録を達成できた」
球史に残る大記録は、打者自身の実力だけでなく、強運や試合展開、チームメイトのアシストが重なって初めて生まれる。丸山の快挙もまた、サイクル安打という記録が持つ不思議な魅力と難しさを改めて浮かび上がらせた。
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