「世論調査は捏造だ」…「トランプ氏」の難癖が止まらない理由 反イスラエル感情の高まり・高関税“違法”判決・経済悪化が米国の混乱を深める

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メディアと超党派議員から反旗

 経済情勢を見る限り、与党・共和党が11月の中間選挙で苦戦するのは間違いない。支持率の低下が止まらないトランプ氏は責任の転嫁に躍起のようだ。

 トランプ氏は4日、ホワイトハウスで行われたイベントで、世論調査の質問には自身に対する偏見があるとし、調査企業はイランの核兵器保持が認められるかどうかを聞くべきだと不満をあらわにした。トランプ氏はさらに、世論調査は捏造(フェイク)だとまで主張した。

 これに対し、メディアはトランプ批判を強める一方だ。

 4日に開かれたピューリッツァー賞選考委員会で、トランプ政権の混迷ぶりを掘り下げた主要メディアの報道が相次いで受賞したことが話題を呼んだ。トランプ氏は同賞の選考委員会とも法的争いを繰り広げている。

 米国の分断が深まる中、筆者が注目したのは、米民主党のプログレッシブ(進歩派)と呼ばれる急進左派の議員約30人が6日、米政界で長年にわたって続いてきた超党派の沈黙を破り、イスラエルの核兵器保有疑惑を追及する書簡を公表したことだ。

 イランに対して「民生用と称して核兵器開発を企てている」と主張するなら、同じ透明性をイスラエルにも適用すべきだというのが理由だ。イスラエルが核兵器を保有していることは米政界では公然の秘密だが、彼らはあえてそのタブーに挑戦しているのだから驚きだ。

イスラエルよりもパレスチナ

 背景には米国民の対イスラエル感情の変化がある。

 ピュー・リサーチ・センターの調査によれば、米国民の6割がイスラエルに批判的な見方を示していた。米民放NBCが4月半ばに実施した調査では、18~29歳の4分の3がイスラエル人よりもパレスチナ人に共感を抱いている。

 このことが示すのは、米国では反イスラエルの傾向が時を経るごとに強まる可能性が高いということだ。

 選挙でのユダヤ・マネーの威力は絶大だが、民主党の政治家の間では、誰が「問題含みのカネ」を拒否し、イスラエルと最も距離を置けるかを競う動きが生まれているという。先導役を務めるのは、前・駐日米国大使のエマニュエル氏だ。民主党の有力政治家である同氏は、年間36億ドル(約6000億円)規模のイスラエル向け援助について、打ち切る考えを明確にしている。

 イランとの戦闘が長引けば長引くほど、民主党を中心に反イスラエル感情が高まり、米政界は混乱の度をさらに深めるのではないだろうか。悩める超大国の動向について、引き続き高い関心をもって注視すべきだ。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。2026年3月末日で経産省を退職。

デイリー新潮編集部

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