浮上する「粗品=ポスト松本人志」説…フジテレビが「ツッコミ特番」をプロデュースさせる意味
お笑い文化をリード
一昔前のフジテレビはお笑いとバラエティの王者として君臨していた。「笑っていいとも!」「オレたちひょうきん族」「めちゃ×2イケてるッ!」をはじめとする数多くの人気番組を世に送り出しており、テレビにおけるお笑い文化をリードする存在だった。
しかし、近年のフジテレビはその地位を失っていた。単に視聴率が低迷しているだけではなく、時代の感覚からズレている、内輪の論理を優先している、古いテレビの体質を引きずっている、といった悪いイメージが重なっていた。中居正広氏をめぐるトラブルが起こったことで、そのイメージは決定的なものになった。
それを踏まえると、「ツッコミスター」のキャッチコピーとして提示されている「スカすなよ。フジテレビ。」という言葉は、単なる宣伝文句以上の深い意味を持つ。今のフジテレビに求められているのは、無難な番組を作ることではない。安全なキャスティングで、そこそこの笑いを取り、それなりの視聴率を狙うのでは意味がない。
むしろ、局として今も真剣に笑いに向き合っているのか、芸人の技術を信じているのか、視聴者を本気で驚かせようとしているのかということが問われている。粗品という芸人を押し出すことは、その問いに対する明確な「回答」である。
粗品は毒舌キャラとしても知られており、過激な発言でたびたび世間を騒がせてきた。仕事に対するこだわりも強く、スタッフのミスを許さない厳しい一面もあると言われている。しかし、そんな彼は誰よりもお笑いに対して真剣である。粗品のあり余る情熱をフジテレビは自局の立て直しに活用しようとしている。
「ツッコミスター」が話題になっているのは、その企画の背景にお笑い史における「世代交代」が透けて見えるからである。粗品をこの番組の看板に据えたのは、フジテレビが「松本以後」のお笑いをどう作るのかということの意思表示である。粗品が本当に「ポスト松本人志」になれるのかどうかは、この番組がどれだけ面白いものになるのかにかかっている。
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