お市の方が浅井長政を介錯!? 「豊臣兄弟!」の大胆すぎる「史実改変」に賛否両論 識者は「現代的な女性像を反映させたのでは」

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近年の史実改変大河

「お市が夫の介錯をしたという明確な資料がないため、史実と違うという意見が出てくるわけですが、同時に介錯しなかったという資料もない。制作者はこの“史実の空白”を利用して、物語を活性化させるために大胆な解釈を行ったのではないでしょうか。実際、今回のシーンを見て、これまでの価値観、固定観念をひっくり返されたような快感がありました」(碓井氏)

 その上で、ストーリーを盛り上げるための歴史ドラマでは史実改変は必要なのだという。

「武田信玄が主人公なら、川中島の合戦は当然描かれます。中でも上杉謙信との一騎討ちは、史実では実際にあり得ないけれど、なくてはならないシーンです。これがなければつまらないドラマになってしまいます」(碓井氏)

 大河ドラマでは戦国時代がよく描かれる。史実しか描いていけないとなれば、どれも似たようなドキュメンタリーになってしまうだろう。そこで近年の大河で印象に残る“史実改変”を碓井氏に挙げてもらった。

「昨年の『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』では謎の絵師・東洲斎写楽が描かれましたが、現代では写楽は能役者の斎藤十郎兵衛とする説が有力です。ですが、ドラマではあくまでも正体不明のイメージで展開しました。そのほうが面白いですからね」(碓井氏)

 続いて一昨年の「光る君へ」では……。

ほぼ全編創作の大河も

「ヒロインの紫式部(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)が幼馴染みというのはかなり物語化していましたし、清少納言(ファーストサマーウイカ)とも直接交流があったというのも国文学者はどう考えているのかなとも思いました。ただ、平安時代中期というのはドラマ化するには難しい時代ですし、紫式部という物書きを1年間の大河にするには相当な工夫が必要だったと思います。ドラマと割り切って大胆なフィクションを取り入れたのでしょう」(碓井氏)

 2023年の「どうする家康」にもある。

「家康(松本潤)の正室・瀬名(有村架純)は、歴史好きには悪女というのが定説。しかし、大河では夫婦仲も良好で、戦のない国作りを構想して実行、これに武田信玄(阿部寛)まで同調する展開は、ファンタジーのようだとも言われました。対するNHK側も“波乱万丈のエンターテインメントドラマ”として理解を求めていましたね」(碓井氏)

 中でも史実改変が光っていたのが、2017年放送の「おんな城主 直虎」だという。

「そもそも資料の乏しい井伊直虎を女性(柴咲コウ)にしちゃったという大胆さは大河史に残るもので、ほとんど全編が創作と言っていいものでした。史実の空白が多いことを逆手に取って自由に物語を創作した最も顕著な例でした」(碓井氏)

 では、「豊臣兄弟!」は今後どうなっていくのだろう。

「そもそも秀吉(池松壮亮)の補佐という立ち位置だった秀長(仲野太賀)を主役に持ってきて二人三脚で天下を取るというテーマは、共生・協働して支え合いながら生きていくという現代的な価値観を反映させています。お市の介錯のみならず、さらに大胆な描き方を期待しています」(碓井氏)

デイリー新潮編集部

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