“甲子園準優勝投手”が韓国プロ野球に電撃移籍…最速155キロ左腕(26)に“逆輸入でのNPBドラフト”はあるか

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20代中盤には「引退がちらつく」厳しい環境

 高校時代から「甲子園準優勝投手」「ドラフトの隠し球」などと注目されてきたが、指名漏れが続いて26歳に。今年、独立リーグにラストチャンスを求めた最速155km/h左腕の平元銀次郎が韓国プロ野球に電撃移籍した。異国でアピールし、夢のNPB入りをかなえることはできるか。【中島大輔/スポーツライター】

 日本でドラフト指名のラストチャンスは、27歳頃と考えられている。

 2025年にNPB球団を現役引退した169選手の平均年齢は27.2歳。プロ野球選手の全盛期は20代後半と言われ、この年齢に差し掛かると球団は獲得を躊躇するからだ。

 プロになる夢をあきらめ切れずに独立リーグへたどり着いた選手たちも、20代中盤になると「引退がちらつく」と口をそろえる。

 だが近年、新たな道が開けてきた。自国選手の投手力に課題を抱える韓国(KBO)や台湾(CPBL)のプロ野球が、日本人独立リーガーを獲得しているのだ。

 特にKBOは今季、アジアクォーター制度(=アジア枠)を導入。昨季まで1球団が契約できる外国人選手は3人以内だったが、アジア野球連盟に加盟する国・地域の国籍の選手か、オーストラリア国籍の選手を別枠で1人獲得できるようになった。

 これにより前ソフトバンクの武田翔太や前巨人の戸田懐生などという元NPB選手に加え、前徳島インディゴソックスの杉本幸基、前くふうハヤテベンチャーズ静岡の宮路悠良が今季韓国に新天地を求めた。

 そして5月5日、平元のSSGランダースへの移籍が決まったのである。

「韓国球団はアジア枠の代替が1回まで可能です。もともと平元は韓国の数球団から視察を受けていたなか、SSGにケガ人が出て、代替外国人選手制度で移籍することになりました」

 そう説明するのは、平元が所属していた群馬ダイヤモンドペガサスで会長付特別補佐を務める色川冬馬氏だ。ミルウォーキー・ブルワーズの国際スカウトを兼任する同氏は各国球団にパイプを持ち、平元の移籍にも関わった。

中村奨成とともに甲子園準Vに輝く

 KBOの代替外国人選手制度は2024年に新設された。外国人選手が6週間以上の負傷離脱をした場合、その選手が復帰するまで一時的に代わりの選手を出場させられる制度だ。

 とりわけ月給10万円台の独立リーガーにとって、大きなチャンスをつかめることに加え、金銭的にも魅力がある。今回SSGに加入する平本の契約は総額7万ドル(約1092万円)。6週間の在籍期間で、独立リーグでは約109カ月分相当の報酬を得られるのだ(※1カ月10万円の給料で計算)。

 今回、韓国移籍を果たした平元は広陵高校時代から注目を集めてきた。2017年夏には中村奨成(現広島)とともに甲子園準優勝。法政大学に進学後はケガに悩まされ、卒業後は社会人野球の強豪・日本通運へ。最速152km/hまで更新して「ドラフトの隠し球」に推す声もあったが、指名は実現されなかった。

 その裏で悩まされたのが、体調不良だった。色川氏が明かす。

「平元は去年、甲状腺がんの手術をしています。それで夏頃に復帰しました。視察していたNPB球団はあったけど、指名は見送られました。獲得するためには、登板のサンプル数が少なかったのだと思います」

 平元は昨季終了後、日本通運を退社してBCリーグの群馬にチャンスを求めた。同じく社会人野球(パナソニック)出身の捕手・宮崎恭輔とともに入団を伝えた群馬球団のXは20.6万回の表示を集めるなど、ドラフトファンを驚かせる決断だった。

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