“甲子園準優勝投手”が韓国プロ野球に電撃移籍…最速155キロ左腕(26)に“逆輸入でのNPBドラフト”はあるか

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BCリーグでの投球内容は「めちゃくちゃいい」

 平元は2026年のBCリーグでは4試合に先発して2勝1敗、防御率4.64。決して際立つ成績ではないが、色川氏は「めちゃくちゃいい」と評価する。

「独立リーグあるあるですけど、成績だけではわからない部分がたくさんあります。試合が行われる地方球場の性質上、打球のバウンドが変わってヒットになることもあります。完全に捉えられた長打は、僕の記憶にはないくらいです。シンプルに三振数と四死球を見ていただければ、投球内容の素晴らしさがわかると思います」

 勝敗や防御率は運の左右する要素も多く、実力を完全に反映していないと言われる。そこでプロのスカウトが特に目を向けるのは、投手の能力を測れる奪三振と与四球だ。

 今季の平元は21回1/3を投げて、奪三振35、与四球8。9イニング換算では12.43個の三振を奪い、3.375個の四球を与えた。

 防御率が悪化したのは4月5日の福島レッドホープス戦で3回まで被安打1、無失点に抑えながら、4回に足をつって2本のヒットと1四球、5死球で降板、自責点8を記録したことが響いた。

 だがスカウト目線で言えば、意味のある登板だったと色川氏は語る。

「最悪の状況では、こんなものだとわかりました。独立リーグクラスの選手の懸念点は、視察に行ったときにはめちゃくちゃ良かったけれど、じつは波が大きいのではということがあります。だからこそサンプル数が求められ、悪いときの波の小ささも証明する必要がある。平元はそれも見せられたと思います」

 180cm、87kgの平元は常時147,8km/hのストレートを投げられ、最速155km/h。NPBの先発左腕で言えば、リバン・モイネロ(ソフトバンク)や隅田知一郎(西武)、高橋遥人(阪神)と同じような球速帯だ。つまり、NPBトップクラスである。

 変化球はカットボール、スライダー、カーブ、フォークと多彩な球種を操る。色川氏が続ける。

「どの球種でもストライクを取れ、ピッチトンネルが決まってバッターは見分けにくい。ピッチングが成熟していて、独立リーグでは無双状態です」

 レベル的に言うと、KBOはMLB、NPBに次ぐリーグだ。そのスカウトに認められ、韓国で大舞台に上がることになった。

目指すは「NPBでドラフト1位」

 まずは代替外国人選手制度の6週間で結果を残し、アジア枠の中に入って今季を終え、秋のドラフトでNPB入りを果たすというのが青写真だ。色川氏が代弁する。

「KBOでサンプル数を増やせることは、NPBで勝負できるか否かを見極める決め手に必ずなります。韓国で中5日で投げて無双すれば、 NPB球団も指名を見送るわけにはいかないでしょう。希望は大きくドラフト1位を目指しています。誰も歩んだことのない道ですし、野球界に新たな選択肢をつくれるという点で僕もワクワクしています」

 過去に独立リーグ出身でドラフト1位指名された選手はいない。KBO経由でNPB入りした選手にはタイロン・ウッズ(元横浜、中日)やセス・グライシンガー(元ヤクルト、巨人、ロッテ)、リック・バンデンハーク(元ソフトバンク、ヤクルト)などがいるが、日本人がドラフト候補になれば、大きな注目を集めるはずだ。

 平元は今秋のドラフトを27歳で迎える。韓国で活躍し、年齢の壁を突き破ることはできるか。高校時代から期待を集める大型左腕のラストチャンスが実を結ぶか、その行方が注目される。

中島大輔(なかじま・だいすけ)
1979年埼玉県生まれ。上智大学卒。スポーツ・ノンフィクション作家。著書『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。他の著書に『野球消滅』『プロ野球 FA宣言の闇』『山本由伸 常識を変える投球術』など。プロからアマチュアまで野球界を広く取材している。

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