今期ドラマの隠れたイチ押し NHK「対決」 「女性差別に加担する女性」を描く
胸に残る演技
本作が優れているのは事件の再現ではなく、事件を生み出す“空気”を描いた点だ。違和感を覚えながらも沈黙した人。自分には関係ないと目をそらした人。組織の論理に従った人。こうした行為が積み重なることで、制度的不正義は温存される。ドラマはその構造を可視化していく。
社会派ドラマはしばしば「白」か「黒」かを明確にし、正義と悪を対立させる。しかし、「対決」は違う。「グレー」のままにしておく罪に踏み込むことで、視聴者自身の姿を映し返す。私たちはどれだけの場面で見て見ぬふりをしてきただろうか。どれだけの瞬間に沈黙を選んできただろうか。
「正しい道とは何なのか」……主演の松本は、その問いを押しつけがましくなく、しかし確実に、胸に残る形で投げかける。「対決」は、彼女のキャリアにおいても、現代の社会派ドラマにおいても、“グレーの時代”を照らし出す作品として記憶されるのではないだろうか。
最終回となる第5話は5月3日(日)午後10時からの放送だ。
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