こんな事が起きるのか…プロ野球で実際に起きた“衝撃の珍ホームラン”

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勝ちに不思議の勝ちあり

 最後は1995年4月26日、ヤクルト対横浜で生まれた“超常現象”のような一発である。

 横浜先発・斎藤隆に7回まで無安打無得点に抑えられていたヤクルトは、0対0の8回1死後、ミューレンが四球を選ぶ。打席には7番・土橋勝征が入った。バットをひと握り余らせた土橋は、斎藤の内角直球を鋭く捉える。打球は左翼ファウルゾーンへ。右から左への風を考えれば、誰もがファウルを確信した当たりだった。

 次の瞬間、打球は逆風を切り裂くように左から右へスライスし、左翼ポールを直撃。そのままスタンドに飛び込み、まさかの決勝2ランとなった。ノーヒットノーラン負けも覚悟した試合は、土橋のわずか1安打で2対0の勝利。まさに「勝ちに不思議の勝ちあり」である。

 この年、ヤクルトは2年ぶりのリーグ優勝と日本一を達成。土橋も打率.281、9本塁打、54打点と結果を残し、野村克也監督から「裏MVP」と評された。本塁打ではないが、阪神・原口文仁も2018年5月15日のDeNA戦で、ファウルゾーンからスライスして左前に落ちる決勝タイムリーを記録している。

 常識では測れない現象が起きる……それこそが野球の面白さだ!

久保田龍雄(くぼた・たつお) <>br 1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘! 激突! 東都大学野球』(ビジネス社)

デイリー新潮編集部

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