『プラダを着た悪魔2』新キャラは本当に“アジア人差別”なのか…観たからわかる「40秒炎上」で見落とされたこと
風刺コメディ
そもそもの話をしてしまえば、本シリーズは「風刺コメディ」であり、じつはどこを切り取っても批判されるだけのものがある。20年前の前作で例を挙げれば、ミランダのパワハラの数々、ファッション業界だけにあるおかしな常識、女性ファッションの業界なのに男性がトップを務める……などだ。
前作でミランダがアンディを雇った理由について「いつも似たタイプを雇う。おしゃれで細いうちの雑誌の崇拝者。でも裏切られてきた(中略)だから太った賢い子を雇った」と語るシーンもそのひとつだ。前作の“モブ編集者”には、当時スーパーモデルとして大人気を博したジゼル・ブンチェンなどが起用されたことからも、「白人のモデル級でないと編集部では務まらない」ルッキズムを風刺しているわけだ。
それから20年――。本作では、アジア系の小柄なジン以外にも、ミランダの第2アシスタントのチャーリー(ケイレブ・ヒーロン)は超ビッグサイズの男性だし、第1アシスタントのアマリ(シモーヌ・アシュリー)はインド系で、編集会議のシーンでも多人種、多様な体型の編集者たちが登場する。
また、前作とは変わってしまった「時代」への風刺も非常に面白い。
ミランダが自分で上着をクローゼットに収めるシーン。ここでは、以前は部下にやらせていたことが「コンプライアンス違反」であり、それを「人事から通告されていること」が説明される。また、彼女の価値観自体はアップデートされて知識はあるものの、口が悪いことは変わりないため、編集会議中にNGワードを連発し、若手編集者から指摘を受ける。
前作でも風刺で笑い飛ばすポイントはたくさんあったが、そのポイントが変わり、世界観は同じく“現代的に”描かれていることに気づくはずだ。
未見の人へのメッセージとして、本作のテーマは「メディアとファッション業界の変容。刹那な経済の動きに翻弄されない、ものづくりにこだわる人々への敬意」であることを付しておきたい。
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