“株はインフレに強い”は過大評価…今が株の買い時と言えない「5つのリスク」を専門家が解説 “年末には日経平均7万円”は眉唾か
不安視される日本経済の未来
「3つ目のリスクは、日本を代表する大企業でさえ株価の下落が起きたことです。例えば4月23日の東京株式市場で銀行株は大きく値を下げました。その結果、銀行業株価指数連動型上場投資信託は前日比1・54%も下落したのです。また、こうした大企業はニューヨークにも株式を上場していますが、みずほFG、三井住友FG、三菱UFJといったメガバンク勢だけでなく、トヨタやソニーGなども値を下げています。日本経済の中核を担う大企業の株価がニューヨークで大きく下がっていることは、日本経済の先行きがニューヨークでも懸念されていることを表しています」
日本経済新聞(電子版)は3月29日、「円安スタグフレーションの影 原油高より怖い高市政権の積極財政」との記事を配信した。日経QUICKニュース編集委員・永井洋一氏の署名記事だ。
この論説では《インフレなら株式投資をすればいいという人もいる。それも時にはミスリードだ。株式はインフレヘッジ資産とは限らない》と注意を呼びかけている。
《高度経済成長のピークだった1973年1月。日経平均株価は最高値5359円74銭を付けた。この時、日経平均に100万円投資したとする。1年9カ月後、物価全般(消費者物価指数の総合、CPI)は1・4倍になったが投資元本は67万円に減った。生活費の増加を賄えたか、あるいは割り負けしたかをみる実質(物価変動調整後)ベースでは48万円だ。いまとは金利水準が違うが株式投資より銀行預金の方が断然有利だった。元本回復まで名目ベースでは約5年、実質ベースでは約12年かかった》
「株はインフレに強い」は誤り!?
多くの国民は「インフレが原因で賃金が上がっても物価上昇には追いつかない」ことを痛感している。
一方、株価は新聞社やテレビ局など大手メディアが連日のように「最高値を更新した」と報じる。さらに年末になると日経平均が7万円に達する可能性があるとの記事も多い。こうした報道で「インフレ時代の今こそ株に投資すべきだ」と判断する人が増えているが、「物価高に株価は追いついているのか」という疑問を持つべきだと田代氏は指摘する。
「4つ目のリスクは日本経済をインフレーションが襲っていることです。繰り返しますが、現在起きている石油危機は、第1次石油危機と第2次石油危機とウクライナ戦争に伴う石油危機とを合わせたよりも巨大な規模です。株価の下落は第1次石油危機の時よりも厳しいと考えるのが自然です。『株はインフレに対して強い』は過大評価です。1949年6月に開始された日経平均株価を、『消費者物価指数:持家の帰属家賃を除く総合指数』で割り引いて物価調整し実質化します。すると、1949年6月に月平均161円12銭であった日経平均株価は、1980年代のバブルのピークだった1989年12月に名目では約237倍の3万8115円32銭でしたが実質では約35倍の5563円01銭でした。それに対して、26年後の今年3月の日経平均株価・月平均は名目なら約5万3964円90銭で約42%上昇しましたが、実質では6011円76銭ですから約8%の上昇に過ぎません」
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