日経平均“6万円突破”でも専門家が「今は絶対に株に手を出してはならない」と説く理由…日経平均以外のきちんと確認すべき“指標”とは
「高市トレード」に賭けるべきか否か──。4月23日の東京株式市場で、日経平均株価が一時、史上初となる6万円台に乗せた。24日には575円高い5万9716円で取引を終え、27日には終値として史上初となる6万円台に乗せた。バブル期を上回る高騰ぶりだが、好景気を実感している人はどれほどいるだろうか。むしろ、「今の株価は上がりすぎではないのか」という声も少なくない。しかし、JPモルガン証券は22日付のレポートで、日経平均の年末目標を7万円に引き上げたという。(全2回の第1回)
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【論よりグラフ】「空前の株高でも生活が苦しいのはなぜ?」…グラフを見れば一目瞭然、日経平均株価と「実質的な数字」は大きく乖離していた。
もともとは6万1000円の目標だったのを7万円に引き上げたというから驚かされる。プロの目から見てもまだまだ株価は上がると考えられているわけだ。株高・円安・債券安の「高市トレード」の流れは止まらないということなのだろう。
ならば、今から株に投資しても儲かる可能性は充分にある──と喜びたいところだが、そう簡単に“濡れ手で粟”とはいかないようだ。元大和総研主任研究員でテラ・ネクサスCEOの田代秀敏氏は「今、株に手を出すべきではありません」と、むしろ警鐘を鳴らす。
「4月23日の取引を見てみましょう。東京証券取引所に上場している全3751銘柄のうち、20・8%を占める780銘柄が値上がりしました。ところが72・8%を占める2730銘柄は値下がりしたのです。7割を超える銘柄が値下がりしたのに日経平均株価の終値が前日比0・75%しか下落していないのは、日経平均株価の欠陥によります。日経平均株価は銘柄ごとの株価の平均値なので、金額が極端に大きな銘柄の変動に大きく左右されます。そのため日経平均株価は不安定で、24日も一時、900円以上値下がりしました。さらに日経平均株価が6万円を超えた瞬間でも、時価総額平均である東証株価指数(TOPIX)は下落しました」
19世紀型の日経平均株価
田代氏は「19世紀型の株価指標である日経平均株価だけを見て投資判断するのは極めて危険です」と言う。
「日経平均株価とは、19世紀の1896年に始まったダウ・ジョーンズ平均株価の日本版です。実際、かつては“日経ダウ”と呼んでいました。ダウ・ジョーンズ平均株価は、基本的には、ニューヨークの様々な取引所に上場されている銘柄の中から代表的な30銘柄を選び出し、それらの株価を合計した金額を銘柄数の30で割った平均値です。ですから、ダウ・ジョーンズ平均株価は単位がドルです。コンピューターがなかった19世紀に、簡単に速く計算できるので、こうした素朴な指標が考案されました」
日経平均株価は東京証券取引所に上場されている銘柄から227銘柄を選び出し、それらの株価を合計した金額を銘柄数の227で割った値だ。平均値は、極端に大きな値の影響を受ける。
「株価が7万円前後のファーストリテイリング(ユニクロ)やキーエンスの株価の変動は日経平均株価を大きく動かします。こうした銘柄は『値嵩株(ねがさかぶ)』と呼ばれます。しかし、株価が3000円前後のトヨタや、600円前後の日本製鉄の株価の変動は日経平均株価をほとんど動かしません。19世紀型の日経平均株価は、日本経済の先行指標ではなく、値嵩株を発行している企業群の業績の先行指標なのです」(同・田代氏)
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