カラオケで歌わない人を責めないで…実は意外と多そうな「自分は歌いたくないけれどカラオケの場にいるのは好きな人」が考えていること

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 新年度が始まり早1ヶ月が過ぎようとしている。この間、新入社員の歓迎会などで、2軒目にカラオケに行ったという読者もいるのではなかろうか。帝国データバンクによると、コロナ期の2021年に1740億円まで落ち込んだカラオケ市場は、2024年度に3200億円までに回復したという。ちなみに、2015年から2019年は概ね3500億円ほどだった。

 1991年に記録した約5000億円からは減ったものの、カラオケは日本における娯楽の一つとしてしっかり定着している。そんな状況ではあるが、一方で、「カラオケで歌いたくない人間」という人種も一定数存在する。かく言う私もその一人だ。

 とはいえ、私はあくまでも「歌いたくない」だけで、カラオケの場にいることは好きである。びっくりするぐらい歌が上手な人がいたりするし、何より積極的に歌う人々が楽しんでいる様を見るのは楽しいものだ。【中川淳一郎・ネットニュース編集者】

カラオケは「歌う人がいる飲み会」

 しかし、カラオケで歌うことが好きな人は、自身が気持ちよく歌ったあと、私に気を遣って「あなたも歌いなよ」と勧めてくれる。やんわりと断るものの、「いいからいいから」とデンモクを渡してこようとする。こちらは遠慮しているわけではなく、本当に歌いたくないのだし、なぜ、歌いたくないのかといえば、「歌がヘタクソ、もっと言うと音痴であり、人前で歌うのは恥ずかしい。カラオケは公開恥晒しだ」と感じてしまうからである。

 そもそも、カラオケは絶対、歌いたい人がどんどん歌う方が場も盛り上がるはずだ。

 私を含め、カラオケで歌いたくないけどカラオケの場を楽しめる人の多くは、カラオケはあくまでも「歌う人がいる飲み会」と捉えているのだ。伴奏や歌声は多少うるさいとはいえ、他の参加者との会話は楽しめるし、美声も良い酒の肴になる。

 一昔前ではあるが、2009年の「発言小町」(読売新聞の女性向け掲示板サイト)にはこんな書き込みがあった。26歳の先輩社員による、入社2年目の後輩A子がカラオケで歌わないことに対する苦言である。なお、「発言小町」では書き込み者のことは「トピ主」と呼ぶ。

〈さすがに「カラオケだって業務の一環なんだからね」と諭して参加させましたが、彼女はこのように、まだ社会人としての振る舞いがきちんと身についていない部分があります。

 昨日のカラオケでも、笑ってごまかして逃げようとするA子に、「笑ってごまかそうとしても女の先輩には通用しないからね」と直接言いましたが、結局のところ最後まで歌いませんでした。(いつもは一応1曲くらいは歌うので、1曲も歌わないのは初めてです)私の言葉が無視されたようで少々腹が立ちました。

 カラオケは上司も参加するものなので、私は先輩として後輩のとるべき態度を教えてやりたいと思うのですが、あまり角を立てないように伝えたいと思います。どのように言えば、A子はちゃんと歌うようになると思いますか?〉

カラオケ至上主義からの脱却

 この投稿を読みながら私は、カラオケの場で辛い立場に置かれたA子さんの姿を想像し、身につまされる思いがした。しかし、しばらくすると回答欄に「我が意を得たり!」という書き込みがあり、画面を見つめながら溜飲を下げた。

〈人が嫌がることを強要するのは会社の常識ではありませんよ。ちゃんとした人事部、法務部のあるような会社では考えられませんね。したくない事を強要する、されたくない事を無理にされるというのはパワハラ・セクハラ以外の何モノでもありません。度が過ぎると訴えられますよ。反省、改善するのはあなたです〉

 続いてはコレだ。

〈さすがに「カラオケだって業務の一環なんだからね」 トピ主の会社ではカラオケでお給料がもらえるのですか? そうでないならパワハラになっちゃいますよ 気をつけてくださいね〉

 今から17年前にこのような指摘はあったわけで、コンプラ意識・パワハラ忌避の風潮が高まっている2026年、さすがにこのようなことを言うカラオケ愛好家はあまりいないだろう。ようやく時代が「カラオケ至上主義」から脱却したのである。このトピ主は2009年に26歳。ということは現在は43歳になっており、ベテラン社員になっていることだろう。管理職になっているとして今でもこの考えを持っているとしたら問題である。

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