「中山美穂さんの遺産、相続税が11億円で息子は相続放棄」 日本の高過ぎる相続税との向き合い方
不動産が優遇される理由
念のためおさらいすると、民法で定められた「法定相続人」に、故人(被相続人)の配偶者は常に含まれる。それ以外の家族には、故人の「子」「両親」「兄弟姉妹」と優先順がつけられている。相続人が配偶者だけの場合は全ての遺産を相続することになり、配偶者と子が1人の場合は、それぞれ遺産の2分の1ずつ相続。また子が2人であれば、子らは4分の1ずつとなる。そして、子がおらず配偶者と故人の父母だけの場合は、それぞれ3分の2、3分の1といった配分である。
ちなみに遺言書などの内容にかかわらず、故人の兄弟姉妹を除く相続人には最低限の取り分である「遺留分」が保証されており、割合はそれぞれ通常の法定相続分の2分の1ずつである。長谷川弁護士が続けて、
「納税者の割合は、改正前の14年時点では4.4%だったところ、翌年には約8%に上昇。そして改正から10年後の昨年には10.4%にまでなりました。東京都内は約20%に上っています。超過累進課税であり最大税率は高いものの、最低税率は10%と低い。課税の“すそ野”が非常に広いのが、日本の相続税の特徴です。中間層、とりわけ都市部の人たちにとっては、すでに身近な税といえるでしょう」
そして、こう指摘する。
「不動産所有者に“優しい”のも、日本の相続税の特徴の一つです。現預金、株式・債券から動産まで、これら財産の“時価”にかかるのが相続税。ですが、不動産だけは趣を異にします」(同)
というのも、
「一般的な不動産については、土地は『路線価』、建物は『固定資産税評価額』によって相続税評価額が決まります。そこでは、われわれがいわゆる“時価”だと認識している『取引価格』、つまり現在売れる価格と比べ、低く算出されるのです。都市部の道路には価格がついており、土地の値段は、その価格がついた道路に接している面積をかけて算出します。路線価が13万円だったら接する土地は1平方メートルで13万円。この路線価は取引価格より2割安いといわれています。また、建物の固定資産税評価額についても、3割ほど下がるとされているのです」(同)
かように不動産が“優遇”されるのは、
「登記制度があることで政府が管理しやすいから、といわれることもあります」(同)
加えて、相続実務士で「夢相続」代表の曽根惠子氏が言うには、
「遺産の評価額を低くしやすいのが、不動産への財産移転です。例えば宅地面積330平方メートルまでの自宅であれば、『小規模宅地等の特例』によって、評価額が最大80%減となります。また他人に貸している不動産も、借地権や借家権を組み合わせて評価額を5~7割も低くすることができます」
後編では、相続を巡って、親子間、きょうだい間で最高裁まで争うケースなどについて紹介する。
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