10年来の友人が、人生を共にするパートナーに… 「交際の話が出たことはなかった」二人を結んだ“意外な出来事”

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遠距離恋愛

 当然、遠距離恋愛ではあるが、大会で彼女が地元に戻ったり、彼が休みを利用して山梨を訪ねたりするなど、月に1度は会っていた。

 富士吉田市の名物でもあるうどんの「硬さが癖になった」と彼は気に入り、うどん店巡りもした。8月には甲府の上り坂で優奈さんの軽自動車のアクセルを彼が踏み続けていたところ、突然〈残りの走行可能距離ゼロ〉の表示が。実際にはまだガソリンは残っていたが「このまま上ろう」「いや下ろう」と言い合いに。下ってコトなきを得たが、真夏の甲府盆地の酷暑の中、クーラーを切って二人で汗だくになった思い出も。

バラの花束

 25年12月の五輪選考会を経て二人は引退。年明け1月8日、ホテルの鉄板焼き店で食事をすることになった。

 これを好機と捉えた将矢さんは「いいお店だからいい洋服で行こう」と優奈さんに提案。食事後に泊まる部屋が2階から入るメゾネットタイプだったため、1階にバラの花束を事前に隠しておいたのだった。

 彼女は食事に誘われた際に「もしかしたら」と思ったが、「引退後そんなすぐではないかな」と考えた。ところが1階から彼の呼ぶ声がしたその時。「ピロン」。動画撮影開始の音が聞こえてピンときた。下りると花束を抱えた彼が「結婚してください」。舞い上がった彼女はずっと笑顔が続いた。

 優奈さんが山梨の家を引き払い、4月から同居を始めた。彼女は彼の「15分でできておいしい」をモットーとした“男飯”に舌鼓を打っているという。

 家族が増える将来を視野に入れながら、将矢さんは「子供に食事も勉強も運動も何でも教えられる人間でいられるよう、成長を続けていきたい」と言う。そんな姿に優奈さんは「やわらかくいつも楽しそうな彼が好きなので、ずっとそうでいてもらえるようにサポートしたい」と柔和な顔。

 北の国の氷上で知り合った二人は、温かな愛を育みつつ、スイスイと前に進んでいくことだろう。

週刊新潮 2026年4月23日号掲載

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